研究課題/領域番号 |
17K03855
|
研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
浅田 進史 駒澤大学, 経済学部, 教授 (30447312)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | ドイツ / 植民地経済 / 植民地主義 / 帝国主義 / グローバリゼーション |
研究実績の概要 |
昨年度と同様に、2021年度も新型コロナ感染症を考慮して、フォローアップ調査は断念せざるをえなかった。そのため、2022年度に開始を延期した国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(A))への発展させるための準備を国内で進めていくことに専念した。 研究計画を予定通り進めることは難しかったものの、本研究計画に関連する研究成果として、熊野直樹・田嶋信雄・工藤章編『ドイツ=東アジア関係史 1890-1945』 (九州大学出版会、2021年12月)に「中国に豆を求めて――戦間期ドイツ・中国関係のなかの大豆と落花生」を寄稿した。この論考の研究対象時期は戦間期を中心としているが、19世紀後半から第一次世界大戦までを扱う本研究プロジェクトにつながるものである。本研究プロジェクトのなかの「植民地産品」のテーマに直接かかわるものであり、本稿では、第一次世界大戦以前・戦中・以後におけるドイツの華北落花生および満洲大豆の輸入量の変化に加えて、これらの産品についての中国駐在ドイツ外交官の認識が分析されている。 そのほかに、本研究プロジェクトに関連して、『歴史と経済』第253号(2021年10月)に熊野直樹著『麻薬の世紀――ドイツと東アジア』(東京大学出版会、2021年)の書評論文を執筆した。主たるテーマは麻薬であるものの、その前段階として満洲大豆が検討されており、本研究プロジェクトを進めるうえで、その理解と認識を深めることに役立つものであった。 これらに加えて、新型コロナ感染症が広まる以前に予定されていた計画を見直しつつ、収集した史料の分析・整理を行った。しかし、やはりフォローアップ調査なしに、学会誌への投稿にまで精度を高めることは難しく、こちらは次年度の課題とする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要で説明した通り、新型コロナ感染症の拡大を考慮して、フォローアップ調査が進まなかったこと、また感染症への対応にともなって従来とは異なる学務・学会活動に時間を割かざるをえず、当初の想定よりも若干の遅れがみられる。また、一昨年度に発表した政治経済学・経済史学会での自由論題報告「19世紀後半・20世紀初頭のドイツ船籍によるアジア間中国系労働者輸送」の論文としての投稿も、やはりフォローアップ調査が必要であり、まだ準備段階である。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度は、国際共同研究加速基金によるベルリンを中心とした在外研究調査を予定している。この期間に合わせて、予定したフォローアップ調査を行い、また海外の研究者との交流を通じて、本研究プロジェクトを完成させていく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初、2020年度に予定していた現地でのフォローアップ調査が新型コロナ感染症の拡大のため、本年度に延期したものの、やはり感染状況を考慮して、ふたたび延期したことが最大の理由である。 2022年度は本研究プロジェクトを基盤に発展させた国際共同研究加速基金により、ベルリンで在外研究を行う予定である。本研究プロジェクトのフォローアップ調査も並行して行い、また海外で予定されている国際会議にも参加し、研究成果をより充実したものにしていく予定である。
|