本研究の学術的意義および社会的意義は以下の通りである。 まず、アメリカ系宣教ミッションと高等商業教育を手がかりとして、近代中国の銀行家がアメリカの影響を受けながら誕生した過程を明らかにする。また、これらの人材養成を、都市部から内陸部へと至る銀行業界の発展過程とアメリカの経済進出との両面から結びつけることで、欧米に端を発する高等商業教育が、中国の内部から伝統的商慣行を変容させていく過程を実証的に解明する。 以上で明らかとなる歴史像は、外的要因が内部に取り込まれ独自の中国的秩序を形成するにいたる過程、ひいては現代中国の経済成長へとつながるダイナミズムを理解するという、今日的意義を兼ね備えるものである。
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