研究課題/領域番号 |
17K03875
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山内 裕 京都大学, 経営管理大学院, 准教授 (50596252)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | サービスの文化 / 文化の構築 / 価値共創 / 相互主観性 |
研究実績の概要 |
この研究は、文化を構築することで価値創造を行う実践を明らかにし、そのための理論と方法論を構築することである。特に、サービスという文化が深くかかわる領域に着目し、経験的調査を行いつつ、文化構築のための理論を探究する。下記の3つの活動を計画していた。 まず最初に、当初の計画通り、サービス場面における相互行為の経験的分析を進めている。具体的には、バーやアパレル場面での相互行為をビデオに記録し、エスノメソドロジーの視座から分析している。バーの調査はセンスメイキング理論に相互主観性を導入する理論的枠組みを提案し、英文ジャーナルに投稿し査読の過程を経ているところである。アパレルの調査は、サービスにおける店員の視線という相互主観性の水準での行為について分析し、その結果を2018年7月の欧州の国際会議(European Group of Organization Studies, EGOS)で発表することが決まっている。 次に、計画にある通り、鮨屋に関する文化表象に関するメソレベルの調査も進んでいる。鮨にまつわる言説を整理し、二次データの分析をベースにした研究を7月の国際会議(Consumer Culture Theory)で発表しフィードバックを得た。さらに、それを踏まえて、鮨おたくと呼ばれる方々数名へのインタビューを実施した。今後このデータを分析しつつ、追加でインタビューを計画している。 最後に、計画にある理論構築に関しては、バーやアパレルデータの分析にともない、相互主観性を基礎としたサービスの価値共創を概念化している。2月には南洋理工大学の消費者文化の研究者、12月と3月にはコペンハーゲンビジネススクールの組織論・哲学の研究者2名と国内で議論をする場を持ち、理論構築を進めた。この内容を論文として完成し、2018年中に公刊されるサービス科学の中心的ハンドブックに含まれることが決まっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
経験的調査は計画通り進んでいる。特に、バーやアパレルにおける経験的調査は計画よりも順調に進み、鮨文化のメソレベル分析も順調に計画通り進んでいる。論文としての成果は、すでにジャーナルへの投稿が進んでいるものやハンドブックへの収録が決まっているものがある。この計画に従って、これらを成果として確実にしていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
相互行為の経験的研究に関しては、一部の追加データの収集を含めて、分析を進め、現在形成しつつある論文のジャーナル投稿の段階を進めていく。メソレベルの分析については、さらにデータを収集し、分析を進めていく。理論構築については、引き続きデザイン方法論を整理しつつ、デザイン実践を通して完成に向けて推進していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に予定していた調査の一部が、対象者の都合により、翌年度に再調整となったため、その分は繰り越しすることとなった。
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