研究課題/領域番号 |
17K03876
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
砂川 伸幸 京都大学, 経営管理研究部, 教授 (90273755)
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研究分担者 |
加藤 政仁 亜細亜大学, 経済学部, 講師 (60755536)
畠田 敬 神戸大学, 経営学研究科, 准教授 (90319898)
重田 雄樹 東京経済大学, 経済学部, 講師 (90793331)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 営業レバレッジ / 資本コスト / 財務レバレッジ / リース / 曖昧性と曖昧性回避 |
研究実績の概要 |
本研究では,企業経営の柔軟性について,資本コストの観点,リースや海外投資の観点,資本市場やアナリストの観点から,理論的な研究と実証的な研究を行い,以下の結果や研究課題を得ることができた。 第一に,固定費用が多く,営業レバレッジ多高い企業は,事業収益のリスクが大きく,経営の柔軟性に問題が生じる可能性がある。このような企業は,財務レバレッジを低下させたり,現金保有(ネットキャッシュ対総資産,ネットキャッシュ対売上高)を増加させたり,あるいは配当や自社株買いによるペイアウトを相対手に低く抑えるなどの資本政策を通じて,財務の柔軟性を高めることで,営業レバレッジの影響を緩和し,企業経営全体としての柔軟性を維持していることが,日本企業のデータ分析により確認された。また,リースを利用することで,営業レバレッジによるリスクを緩和していることも確認された。 第二に,企業価値と関係が深い資本コスト経営について,企業価値の向上を実現している企業は,資本コストの導入について,管理者レベルや社員全体への浸透を行うなど,柔軟な対応をしていることが見てとれた。 第三に,企業経営の柔軟性に関する市場の評価を従来とは異なる観点から分析するための理論的な研究と試行的な実証研究を行った。具体的には,投資家の資産価格情報の認識と資産評価の関係について,投資家が資産価格の確率分布を必ずしも正確に認識できない場合を想定して,曖昧性回避と呼ばれる投資家の選好を特徴づけ,理論的かつ試行的な実証研究を行った。多数の証券に投資する場合など正確な確率分布の認識が難しいと想定される状況では,上記のような特徴づけに基づく投資選択は良い実績を残す傾向にあった。今後は,このような投資家の選好の下で,経営の柔軟性がどのように評価されるかを検証していく必要がある。
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