研究課題/領域番号 |
17K03878
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
松尾 博文 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (50312814)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | サプライチェーン・マネジメント / サプライチェーン戦略 / グローバル調達 / サービサイジング / 企業連携 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、第一の研究課題のグローバル・サプライチェーンの再編成の研究に関して,ペンシルバニア大学、スタンフォード大学、ジョージタウン大学、ワシントン大学セントルイス、サンタクララ大学、WHU、神戸大学の日米欧の7大学で平成26年度より進めてきたGlobal Supply Chain Benchmark Study共同研究の結果を論文としてまとめ、オペレーションズ・マネジメントのトップの学術雑誌であるManufacturing and Service Operations Managementに投稿し、採択された。既存研究では企業単位のサプライチェーン・マネジメントを対象とした研究が多いが、本研究では、分析単位を企業の特定製品群を扱う事業とし,地域間の生産量の移転のデータとその移転の要因に関する詳細なサンプルデータを分析しているところに新規性がある。サプライチェーンの管理者が直面する現実的な意思決定という側面から、グローバル・サプライチェーンにおいて、地域間の生産量の再調整をどのような要因に基づき決定しているのかを明らかにした。 第二の研究課題であるサービサイジングの展開の研究に関しては,高温補充部品の長期保守契約に関する連携モデルの研究をワシントン大学セントルイスと香港城市大学との共同研究として進めた.修理再生可能な補充部品の既存研究はあるが,タービン保守に特有の条件は既存研究では考慮されていない.長期保守サービス契約のデザインの問題は,企業連携におけるリスクとリターン共有の問題として捉えることができる.不確実性のもとでは,投資リスクの問題が発生するので,企業連携についてのゲーム理論を適用して、数学的なモデルを開発するという研究アプローチをとっている。現在までに、モデルは開発できており、シミュレーションを使って検証中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一の研究課題のグローバル・サプライチェーンの再編成の研究については、Global Supply Chain Benchmark Study共同研究の結果を論文としてまとめ、オペレーションズ・マネジメントのトップジャーナルであるManufacturing and Service Operations Managementに採択され、一つの目標は達成できた。 第二のサービサイジングの展開の研究については、長期保守サービス契約のデザインに関して,企業連携におけるリスクとリターン共有の問題として捉え不確実性のもとでの投資リスクの問題を考慮したゲーム理論を数学的なモデルを開発するというところまでできているが、モデルのシミュレーションによる検証と精緻化が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
グローバル・サプライチェーンの再編成の研究課題については,Global Supply Chain Benchmark Studyの調査研究の成果を学術雑誌に投稿し、採択されたが、まだ、詳細な要因と生産量の移転の因果関係に関するデータの分析で未発表の部分が残っている。この部分の研究を完成するためには、さらなるインタビュー調査が必要であり、日米欧7大学の共同研究チームのワークショップを開催する等をして、研究を進めていく。また、グローバル・サプライチェーンの再編成に必要な論理である、水平・垂直統合の研究をすすめ、論文としてまとめて、学術雑誌に投稿し、採択を目指す。 サービサイジングの展開の研究に関しては,ワシントン大学セントルイスと香港城市大学との共同研究として進め,高温補充部品の在庫管理の研究の論文と長期保守契約に関する連携モデルの研究の論文をまとめ学術雑誌に投稿することを目指す。 平成30年度は,国内のISOMS国際学会での発表費用,ポルトガルで開催されるサプライチェーン・マネジメントのワークショップに出席する費用、ワシントン大学セントルイスでの共同研究のための旅費,国内での調査研究費が必要である.
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度中に国際共同研究者であるワシントン大学セントルイス所属のProfessor Panos Kovelisとの研究討議を当該大学において実施する予定であったが、ミーティングの時期について、予定していたものからの変更があり、調整がつかず実施できなかった。次年度に繰り越される予算の309,540円は平成30年度中にワシントン大学セントルイスへの海外出張旅費として、使用することを予定している。
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