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2018 年度 実施状況報告書

ソーシャルメディアの利用が若者の自己同一性形成に与える影響に関する学際的研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K03879
研究機関愛媛大学

研究代表者

折戸 洋子  愛媛大学, 社会共創学部, 准教授 (70409423)

研究分担者 村田 潔  明治大学, 商学部, 専任教授 (70229988)
田窪 美葉  大阪国際大学, 経営経済学部, 教授 (80319798)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードソーシャルメディア / アテンション / ゲーミング
研究実績の概要

2018年度は、これまでの研究成果(ソーシャルメディアユーザーの行動志向性についての分析および今後のソーシャルメディアユーザーにとってのリスク、プラットフォーム設計者にとっての課題の提示)を整理し、新たな考察を加えた研究成果を国際会議において報告した。ここでは、現代的なオンラインプラットフォームによって個人情報がリアルタイムに収集される参加型監視環境の現状とそれに対するポリシーメーキングについて、会議参加者との意見交換が行なわれた。
また、今年度は本研究課題での理論研究における考察を公表しただけでなく、ゲーミングシミュレーションによって、ネット上でのデジタルアイデンティティの変化を体験可能なゲーム環境(Online Attention Game、OAG)を試作し、その実験を行った。具体的には、ビジネスゲームに使用されるシステムを利用して、参加者にネット上に公開する記事の見出しを投稿させ、より多くのアテンションを集める見出しを投稿したものに得点が集まるゲーム環境を開発した。これは、擬似的にオンラインアテンション競争下における情報発信行動の変化を体験してもらい、自らのデジタルアイデンティティがどのように変化していくかを振り返って学習することができるよう意図したものである。この実験を行ったことにより、デジタルアイデンティティがどのように認識されていくのかについての変化を体験してもらうことができ、その結果を蓄積することが可能となっている。その他、倫理学や個人情報管理についての研究を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年度の文献研究および基礎的な調査研究のもとに、今年度は、複数の国内学会や国際会議での研究成果の発表を行っている。特に、オンラインアテンション競争の状況を体感してもらうためのシミュレーションゲーム(Online Attention Game、OAG)のコンセプトをまとめ、それを実装するための試みを行った。まだ、試作段階ではあるものの、学生や研究者に実際にゲームを行ってもらい、そのデータからの考察や課題点の抽出を行うことができた。加えて、次年度に開催される学会での報告に必要な実験準備やゲーミングシステムの整備等を行っており、次年度の研究成果発表について順調に準備を行っている。このように十分に順調に研究が進んでいるといえる。

今後の研究の推進方策

最終年度は、自己同一性形成への影響に関する理論的研究を進めることに加え、オンラインアテンションゲーム(OAG)の実験を行い、その実験データに対する考察から、より具体的なポリシーメーキングに向けた示唆を提示してくこととする。そのために、ゲーミングシステムの設定やインターフェース上の改良を行い、よりゲームに参加しやすい状況を生み出し、実験を行うことが課題である。そして、その実験結果に対する考察と、これまでの理論研究を結び付け、若者のオンラインアイデンティティ構築に関する倫理的課題をよりクリアに説明しうるようフレームワークを構築する予定である。
加えて、必要に応じて論点の整理を行い、本研究の成果をより汎用的な教材開発に生かしていくために、関連の研究者との議論や専門家へのヒアリング調査を予定し、本研究の成果を若年者の教育内容に取り込むためのアプローチを行っていく。

次年度使用額が生じた理由

最終年度に国際会議に参加することが予定されたため変更が生じた。国際会議の旅費として利用される予定である。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2020 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Does Ethical Judgment Determine the Decision to Become a Cyborg? Influence of Ethical Judgment on the Cyborg Market2020

    • 著者名/発表者名
      Jorge Pelegrn-Borondo, Mario Arias-Oliva, Kiyoshi Murata, Mar Souto-Romero
    • 雑誌名

      Journal of Business Ethics

      巻: 161(1) ページ: 5-17

    • DOI

      https://doi.org/10.1007/s10551-018-3970-7

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Introduction: Japanese Philosophy and Ethics of Technology2019

    • 著者名/発表者名
      Thomas Taro Lennerfors and Kiyoshi Murata
    • 雑誌名

      Tetsugaku Companion to Japanese Ethics and Technology

      巻: - ページ: 1-20

    • DOI

      https://doi.org/10.1007/978-3-319-59027-1_1.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Japanese Traditional Vocational Ethics: Relevance and Meaning for the ICT-dependent Society2019

    • 著者名/発表者名
      Kiyoshi Murata
    • 雑誌名

      Tetsugaku Companion to Japanese Ethics and Technology

      巻: - ページ: 139-160

    • DOI

      https://doi.org/10.1007/978-3-319-59027-1_7

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Do Honest People Pull the Short Straw? The Paradox of Openness2018

    • 著者名/発表者名
      Kiyoshi Murata, Yohko Orito and Miha Takubo
    • 雑誌名

      Kreps, D., Ess, C., Leenen, L., Kimppa, K. (Eds.), This Changes Everything - ICT and Climate Change: What Can We Do?

      巻: - ページ: 282-292

    • DOI

      https://doi.org/10.1007/978-3-319-99605-9_21

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 国家による監視と日本社会:エドワード・スノーデンが教えてくれたこと2018

    • 著者名/発表者名
      村田 潔,折戸洋子,福田康典
    • 雑誌名

      経営情報学会誌

      巻: 27(1) ページ: 3-8

    • 査読あり
  • [学会発表] オンラインアテンションゲーム:アテンション競争によるアイデンティティ変化の体験2019

    • 著者名/発表者名
      田窪美葉,折戸洋子,村田潔
    • 学会等名
      横浜国立大学ビジネスシミュレーション研究拠点会議 兼 第18回YBGユーザ会議
  • [学会発表] Ethics Education in Japan: Difficulties and Challenges2019

    • 著者名/発表者名
      Kiyoshi Murata and Yohko Orito
    • 学会等名
      TUR Ethics Seminar
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 福田康典・村田潔・折戸洋子2018

    • 著者名/発表者名
      配慮すべき個人情報とは何か:要配慮個人情報に対する批判的検討
    • 学会等名
      日本情報経営学会第76回全国大会(北海道情報大学)
  • [学会発表] Cyborg Athletes or Technodoping: How Far Can People Become Cyborgs to Play Sports?2018

    • 著者名/発表者名
      Kiyoshi Murata, Yasunori Fukuta, Yohko Orito, Andrew A. Adams, Mario Arias-Oliva and Jorge Pelegrin-Borondo ETH
    • 学会等名
      ETHICOMP 2018
    • 国際学会
  • [学会発表] オンラインネットワークで行うアテンションゲームの試作2018

    • 著者名/発表者名
      田窪美葉・折戸洋子・村田潔
    • 学会等名
      日本シミュレーション&ゲーミング学会 2018年度秋期全国大会
  • [学会発表] 高齢化地域コミュニティにおける災害時対応のための個人情報管理ー備前市片上地区町内会による「声かけ名簿」事例ー2018

    • 著者名/発表者名
      折戸洋子・鈴木静・村田潔・崔英靖
    • 学会等名
      日本情報経営学会第77回全国大会
  • [学会発表] 責任あるAI人工物の開発:RRIとSDGsの視点から2018

    • 著者名/発表者名
      村田潔
    • 学会等名
      日本情報経営学会第77回全国大会
  • [学会発表] プライバシ保護設定推測における推測値の平行シフトが受容度に与える影響2018

    • 著者名/発表者名
      中村徹, Andrew A. Adams, 村田潔, 清本晋作, 鈴木信雄
    • 学会等名
      第82回コンピュータセキュリティ・第29回セキュリティ心理学とトラスト合同研究発表会
  • [学会発表] テクノロジーとジェンダー:倫理的視点から考えるAI時代の女性労働2018

    • 著者名/発表者名
      浅井亮子,村田潔
    • 学会等名
      日本情報経営学会第76回全国大会
  • [学会発表] 日本語固有名詞を用いたハングル読み練習問題の自動生成2018

    • 著者名/発表者名
      石川高行・田窪美葉
    • 学会等名
      平成30年度教育改革ICT戦略大会 公益社団法人 私立大学情報教育協会
  • [図書] Tetsugaku Companion to Japanese Ethics and Technology2019

    • 著者名/発表者名
      Thomas Taro Lennerfors and Kiyoshi Murata (eds.)
    • 総ページ数
      243
    • 出版者
      Springer
    • ISBN
      978-3-319-59025-7
  • [備考] 明治大学 ビジネス情報倫理研究所

    • URL

      http://www.kisc.meiji.ac.jp/~ethicj/

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公開日: 2019-12-27  

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