研究課題/領域番号 |
17K03880
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
岩佐 和幸 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 教授 (40314976)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | グローバル化 / ファスト化 / 重層的下請構造 / 商品連鎖 / 垂直的統合 / ローカル化 |
研究実績の概要 |
2021年度は、産業学会第59回全国大会の共通論題「アパレル産業の日欧比較――繊維産地の構造変化と競争力の再構築に向けて――」(2021年6月13日、オンライン開催)にて、報告者の1人として招待され、「グローバル化/ファスト化に翻弄される繊維産地と域内縫製業の苦闘」と題する研究報告を行い、年度末に学会誌に招待論文が掲載される予定である。 同報告は、これまでの調査研究の総括的内容として行ったものである。具体的には、1990年代以降の転換期における国内アパレル業界を題材に、当該産業を土台で支える縫製部門にフォーカスし、グローバル化/ファスト化に翻弄される繊維産地と域内縫製業の苦闘を「商品連鎖論」と「周辺産地」分析という2つの軸を通じて浮き彫りにしたものである。分析の結果、第1に、グローバル化/ファスト化によって,国内産地が壊滅的な打撃を受けたが、その典型が重層的下請構造下の周辺産地である点、第2に、グローバル化/ファスト化への適応策として縫製企業が海外生産と外国人労働力導入という二重のグローバル化を進めている点、第3に、OEM依存のリスク認識と自立化の模索である縫製企業が部門内にとどまらず、自ら企画部門や販売部門まで手を拡げ、商品連鎖の垂直的統合こそ、自立化と再構築のポイントである点、第4に、垂直的統合とともに「地域」も,再構築を考える上で欠かせないキーワードである点を明示した。 上記報告にあわせて、縫製企業のヒアリング調査と各種資料収集を同時並行で実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基本的に学会報告で、本研究の目指していた方向性を提示することができ、論文として形にすることができる等、おおむね順調に進んでいる。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響で、関連する現地調査が予定通り実施できなかったことから、次年度の課題としたい。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度に予定していた調査が新型コロナ禍で中断されたことから、最終年度として各種調査を遂行し、最終的な研究の総括を行いたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度も新型コロナ禍の影響で、予定していた現地調査が叶わなかったことから、次年度使用額が発生した。次年度は、最終年度としてこれら予算を執行する予定である。
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