研究課題/領域番号 |
17K03886
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
吉田 和生 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (30240279)
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研究分担者 |
壁谷 順之 朝日大学, 経営学部, 講師 (50588944)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 確定拠出年金 / 中退共 / 規模効果 / 退職給付会計 / 実証分析 |
研究実績の概要 |
平成29年度は分析サンプルの収集とジャーナルを中心とする先行研究の調査を行った。まず、分析サンプルについては東証1・2部企業を対象として、2002年3月期から2016年3月期までの確定拠出年金と中退共の採用状況について調査した。この調査については平成29年度中においてほぼ終了し、いくつかの財務データを使って傾向を分析した。 結果は次の通りであった。確定拠出年金はサンプル1624社中679社が採用していた。一方、中退共は166社にとどまっていた。しかし、少しずつ中退共を採用する企業は増えており、当該制度が利用されていることが判明した。規模別にみると2006年、2011年、2015年いずれにおいても、中退共は300名以下の企業で採用が多く、確定拠出年金は2000名超の大企業において採用が多かった。確定拠出年金採用における規模要因は強く存在していることが再確認されている。今後、多くのデータを揃えて多変量解析を行う予定である。 先行研究の調査は研究協力者である堀場教授を中心に実施した。Lazear(1985)、Bodie et al.(1988)、McCarthy(2003)、Bovenberg et al.(2007)、Beetsma and Bovenberg(2009)の研究を取り上げて詳細に検討を行った。特にLazearは当該研究に非常に有益であり、多くの議論を行った。しかし、この研究の仮定が非常に強く、実証分析を行うための仮説を導出することは難しいという結論に至った。そのため、堀場教授との共同論文(Horiba and Yoshida(2002))をもとに、再度、議論することになった。この共同論文は確定給付制度の採用動機について分析したもので、企業コスト最小化という非常に単純な仮定を置いてモデルが立てられている。今後、このモデルを確定拠出年金に発展させることとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析サンプルの収集はほぼ終了し、実証分析が可能な状況にきている。また、先行研究の調査についても堀場先生を中心に順調に進められており。今後、理論モデルの検討・提案に入る段階にある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度(平成29年度)は研究協力者である堀場教授と日本とアメリカにおいて、計2回、研究上の打ち合わせを行った。それに伴って、旅費を中心に当該研究費を使用した。この共同研究によって先行研究の調査とその評価が終了し、また、今後の理論モデルの方向性についてもほぼ確定したと考えている。平成30年度は退職給付関連に関する最新のデータ等を購入するとともに、Hazardモデルが可能な計量ソフト(STATA)を購入して、多変量分析に取りかかる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度から次年度への繰越はごく少額であり、計画通りに予算の執行が行われている。
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