研究課題/領域番号 |
17K03891
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研究機関 | 麗澤大学 |
研究代表者 |
吉田 健一郎 麗澤大学, 経済学部, 准教授 (70389899)
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研究分担者 |
有馬 昌宏 兵庫県立大学, 応用情報科学研究科, 名誉教授 (00151184)
島田 達巳 情報セキュリティ大学院大学, セキュアシステム研究所, 研究員 (00167446)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 行政のデジタル化 / 成熟度モデル / 電子自治体 |
研究実績の概要 |
わが国の電子自治体や自治体DXの実現構想に対して、その実現がなかなか進まない現状を打破すべく、進展を阻害する要因を分析するとともに、マイケル・ハマーが提唱したPEMM(Process and Enterprise Maturity Model)のように、全国の基礎自治体の電子自治体実現に向けての成熟度を定量評価できるモデルの構築を目指し、試案としての電子自治体や自治体DXの実現のための成熟度モデルを作成した。 本研究の発端は自治体の情報化の成熟度モデルを発展させ、小規模自治体の情報化成熟度を緻密に測定できる、Small & Medium Local government版モデル(以下、SML版成熟度モデル)を構築する点にある。近年の流れからすれば、DX(デジタルトランスフォーメーション)の成熟度モデルをベースにするということも考えられたが、次の2つの理由からPEMMをベースにするに至った。 1.自治体における「変革」のイメージとしても最も多いのは業務フローの見直し(業務改善)であること。 2.民間企業と比して、自治体の改善の速度は速いとは言えず、DXの定義にある「データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立する」とは若干相容れないこと。 なお、PEMMではビジネスプロセスの成熟度(5つのプロセス・イネブラー)と企業の成熟度(4つの企業ケイパビリティ)の2つを4段階で表したものであり、長期のパフォーマンスを実現のためにはこれら2つの両方を育成しなければいけない点に特徴があるが、実際のデジタルへの変革に関しては総務省が行っている「地方行政サービス改革の取組状況等に関する調査等」で代替可能であると判断した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度、コロナ禍の影響でオンライン授業の準備、そして、移動の制限などもあり、2020年2月か5月に実施したアンケート調査の分析並びにフォローアップがなされていないことによる。
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今後の研究の推進方策 |
2021年6月に開催される情報経営学会の全国大会をはじめとして、調査結果をまとめる場を作るとともに、調査対象自治体へのフォローアップ調査を実施したいと考えている。ただし、2021年5月現在、コロナウィルスのワクチン接触対応なども含め、昨年度から引き続き、基礎自治体が行う業務が増えていることから、追加の調査依頼を断られることも考えられる。 2021年9月にはデジタル庁もできることから、今後、行政のデジタル化は進むことが期待されている一方で、本研究課題がテーマとしている小規模自治体が抱える課題がなくなるわけでもないため、小規模自治体との協力関係を構築していくことが本研究にとって必要なことと位置付けて進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響によりフィールドワークの実施が困難であったことによる。
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