研究実績の概要 |
本研究の目的は、コーポレート・ガバナンスと企業不祥事の因果関係を統計的に分析し、実証証拠を提供することで学術的に貢献することにあった。具体的には、社外取締役や監査役によるモニタリング機能の強化、およびストック・オプション導入などの経営者インセンティブの強化が、企業不祥事の発生確率を引き下げるか否かを検証することが課題である。 研究プロジェクトの初年度である平成29年度は、主に社外取締役の質と企業不祥事の関係の分析に取り組んだ。具体的な到達目標としては、①企業不祥事やガバナンス変数に関するデータベースの整備、②先行研究のレビューと理論モデル・仮説の導出、③不祥事企業に勤務経験のある人物へのヒアリング調査、④社外取締役が企業不祥事の発生確率に与える影響の統計分析、⑤分析結果の発表および論文の執筆、であった。まず、データセットの構築に関しては、企業不祥事のデータに関しては直近まで整備することができたため、現在は社外取締役の属性や経験などの情報を追加的に整備している段階である。先行研究のレビューや理論モデル、仮説の導出は順調に進んだが、ヒアリング調査はスケジュール調整が難航し予定通り進まなかった。また、統計分析では暫定的な結果が得られ、現在、学会発表で頂戴したコメントを参考に論文の執筆を進めている。研究発表に関しては、国際学会における報告が2回(Academy of International Business, 2017 Annual Meeting, Dubai, UAE,およびAcademy of Management, The 77th Annual Meeting, Atlanta, Georgia, USA)である。
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