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2018 年度 実施状況報告書

少子高齢化時代の企業年金

研究課題

研究課題/領域番号 17K03898
研究機関中央大学

研究代表者

佐々木 隆文  中央大学, 総合政策学部, 教授 (10453078)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード株式の資本コスト / 財務レバレッジ / 退職給付制度 / 企業の社会的責任
研究実績の概要

2018年度は、退職給付債務と株式資本コストに関する論文をまとめ、改定作業を進めた。わが国の退職給付制度では、確定給付型の退職給付制度、退職一時金を通じて企業が従業員から実質的な借り入れを行うことができる。このような内部者からの借り入れは通常の社債や借入金に比べ、以下のような違いがある。第一に、債権者である従業員は人的資本の提供者でもあり、人的資本の価値を低下させる経営危機を避けたい誘因が強い。このため、従業員は経営危機時に債務削減に応じやすくなると考えられる。第二に、上記のような制度への拠出に関し、経営者には一定の裁量がある。とりわけ、内部積立制度である退職一時金に関し、経営者は自由に積立計画を立てることができる。第三に、内部者からの借り入れは自動的にリファイナンスされる。このため、将来の外部資金調達に伴う付加的なコストを避けることが可能になる。以上のような理由から、内部積立制度では財務レバレッジ効果による株式資本コストの上昇が緩和される可能性がある。実証分析の結果、内部者からの借り入れの代理変数である退職給付債務が株式の資本コストを高める効果は有利子負債に比べ、小さいことが示された。本研究結果は、ソフトなわが国の退職給付制度が財務上のメリットにつながることを示唆している。
また、退職給付制度が企業の社会的責任に関する企業行動とどのような関係にあるかを分析するためのプログラムを作成した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

資本コストに関連する論文は現在、海外学術ジャーナル投稿に向け、改訂作業を進めているところである。

今後の研究の推進方策

資本コストに関する論文を海外の学術ジャーナルに投稿する。
また、退職給付制度とCSR、研究開発投資に関する実証分析を行う。

次年度使用額が生じた理由

本年度はデータベース、海外旅費など予定通りの支出があったが、本プロジェクト初年度の支出が抑えられたことにより、若干の次年度使用額が生じた。

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公開日: 2019-12-27  

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