少子高齢化時代を迎え、従業員の安定した老後のために確定給付型の退職給付制度が果たしうる役割は大きい。確定給付型の退職給付制度に関する研究でぇあ人事上のメリットとともに、財務上のデメリットが指摘されてきた。本研究の分析結果はソフトな負債という性質を持つ我が国の確定給付型の退職給付制度では財務レバレッジによる株式資本コストの上昇が限定的になることが示された。他方、確定給付型の退職給付制度は研究開発投資などを促す可能性が先行研究で指摘されている。本研究の分析結果と併せて考えると、確定給付型の退職給付制度を持ち続けた方が良い企業は少なくないと考えられる。
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