研究課題/領域番号 |
17K03900
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
風間 信隆 明治大学, 商学部, 専任教授 (60130803)
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研究分担者 |
H・R Bungsche 関西学院大学, 商学部, 准教授 (10434903)
清水 一之 明治大学, 経営学部, 専任准教授 (80515081)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | インサイダー型企業統治 / ドイツ・モデル / 会社の利益 / 経営協議会 / 労使共同決定 / ファミリー支配 / 機関投資家の圧力 / 第4次産業革命 |
研究実績の概要 |
平成29年度には,当該研究テーマ「利害多元的企業統治モデルと労使関係」をめぐって,11月に研究代表者および研究分担者2名の研究チームでドイツの関係諸機関を対象としてヒアリングを実施してきた。その結果,ドイツの従来のコーポレート・ガバナンスと労使関係に大きな変革が生じていることを確認することができた。例えば,ベルリンにおけるIT企業(Movingimage 24GmbH, Berlin)では「アジルな経営」というスローガンの下で伝統的な経営協議会(Betriebsrat)(間接代表参加)を設置せず,従業員の直接参加が強調されていた。時間もコストもかかる従来型の労使関係はこうした企業では大きく変化している。またドイツ連邦政府の「コーポレート・ガバナンス・コード」(2017年版)でも「機関投資家は企業にとってとりわけ大きな意義を持っている。機関投資家によって期待されるのは彼らが自己の所有権を・・・積極的にかつ責任を自覚して行使していることが期待される」(序文)という文言が追加されれている点にもその変化の一端を看て取ることができる。これは一つはドイツの株式市場においてますます機関投資家の影響力が高まっていることと同時に,第4次産業革命の下で進んでいる経済・社会のデジタル化の急進展,さらには21世紀に入って急速に拡大している雇用の流動化と密接に関わっているように思われる。 当該年度の研究成果は,研究代表者及び研究分担者共に学会や学術誌等で公表に努めてきた。とくに研究代表者は,その成果を研究・イノベーション学会国際問題分科会において「ドイツの第4次産業革命におけるデジタル工業化とモノづくり革新:クルマづくりを中心として」と題して報告するとともに,研究分担者の一人(清水一之)も日本情報経営学会をはじめとする学術誌(閣内・海外)にその成果の一部を公表してきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記研究実績にみられるように,平成29年度において実施した研究活動により,当初の計画通りに研究は進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後さらに前年度の研究成果に依拠しつつ,さらに研究を深めるために再度のドイツ現地調査を行う予定である。とくに前回の調査で確認したデジタル革命(第4次産業革命)がドイツのビジネス(モノづくり経営)にどのような盈虚を及ぼしているのか,さらにはこうしたビジネス現場での労働にいかなる変革をもたらしているのか,こうした労働の変容がドイツの伝統的な労使関係にどの程度影響を及ぼしているかが重点的な研究課題となる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者である清水一之氏が2017年度アイルランドにて在外研究のため滞在しており,当初予定していた日本発ドイツへの旅費が少なくなった。またもう一人の研究分担者であるブングシェ氏も研究費の効率的執行に努めた結果,旅費交通費の支出を削減できた。そのため,次年度に清水氏およびブングシェ氏もその資金は当該研究テーマ調査のために充当する予定である。
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