研究課題/領域番号 |
17K03909
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
古賀 広志 関西大学, 総合情報学部, 教授 (20258312)
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研究分担者 |
柳原 佐智子 富山大学, 経済学部, 教授 (40262505)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ソーシャルメディア / 購買履歴データ / 組織能力 / 情報倫理 |
研究実績の概要 |
日本情報経営学会誌(39巻第2号)に「エコシステムと情報倫理:デジタルプラットフォームの戦略と倫理」と題する論文を掲載することができた。そこでは、ソーシャルメディアを含めたデジタルプラットフォームが担うべき情報倫理の課題を論じることができた。ソーシャルメディアなどのデジタルプラットフォーム企業は、多様なエコシステムを形成している。そこで、顧客情報を活用するための組織能力の諸元として、エコシステム形成という視点から、(1)共進化能力 と(2)信頼形成能力が重要である点を指摘した。ビジネス・エコシステム形成過程では、組織能力論やビジネスモデル論で協調される「論理」だけでなく「倫理」が重要である点を指摘し、倫理性がひいては持続的発展が可能なビジネス・エコシステムが構築できるという指摘を行うことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度に英文誌(査読付)に掲載された論文をもとに、新たな事例を研究した研究報告を7月に国際会議にて発表できた。この点は大きな成果である。ただし、そこでの議論を踏まえて、アンケート調査などを行う予定であったが、在外研究の機会を得たこともあり、国内での調査を実施できなかった。とはいえ、モデル構築は概ね順調に進んでいる。また、コロナウィルスの影響で2020年に開催予定の国際会議も中止となり、研究成果を報告する機会を損ねてしまった。研究期間を延長したので、次年度は、アンケート調査などに取り組みたい。
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今後の研究の推進方策 |
ソーシャルメディアマーケティングにおける個人情報活用の課題についての事例研究を整理し,英文誌で提案した枠組の修正を行っていきたい.このとき,昨今 巷間を賑わしているAI(人工知能)やビッグデータの問題を避けることは出来ない.具体的には,ふつうの個人情報か要配慮(センシティブ)情報が析出可能になってきたことから個人情報とプライバシーを峻別することが難しくなってきたことなどを踏まえて,我々の分析枠組の修正を行っていく必要があると考えられる.このとき,事例ベースの理論研究だけでなく,大学生を対象とする質問票調査をおこない,個人情報やSNSマーケティングに対する実態を把握するための意識調査を行って行くことが重要と考えられる.そこで,アンケート調査と分析枠組の修正を今後は制直的に展開していきたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
ソーシャルメディアを用いたマーケティングアプローチをAIや情報倫理の視点から考察した内容を国際会議にて報告すべく準備を進め、結果的に、ETHICOMPという情報倫理では最も権威のある国際会議の1つでの報告が採択された。当該報告を行うことが本研究課題の総括に不可欠である。しかし、同会議の開催が2020年6月である。そのために、当該事業の延長を申請した。 ところが、新型コロナウィルスの影響で当該会議の対面での開催が中止された。そこで、オンライン会議の資料の英文校閲および参加費として、当該予算を執行する予定である。
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