研究課題/領域番号 |
17K03919
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
伊藤 慎一 秋田大学, 産学連携推進機構, 准教授 (60612489)
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研究分担者 |
臼木 智昭 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (70804459)
嶋崎 善章 秋田県立大学, システム科学技術学部, 准教授 (40454772)
柴田 傑 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 助教 (90649550)
小野 浩幸 山形大学, 大学院理工学研究科, 教授 (20312754)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 経営学 / 知的財産 / リレーションシップバンキング / マーケティング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、中小企業が所有する知的財産権(特許、実用新案、意匠、商標)を金融機関の融資判断材料として定量的に評価できる知財価値評価スキームの構築である。知的財産権は経営戦略上重要な説明変数であり、新技術動向・成長方針立案など多くの情報的価値を持つ。反面知的財産権はそれ自体が資産を表明するものではないため、定量化が難しく非財務情報融資活用時、中小企業と地域金融機関の間で情報の非対称性がおきやすい。そこで、本問題を解決すべく研究を行っている。 平成30年度は、昨年度調査した中小企業向け知的財産価値判断に関するアンケート結果を基に、中小企業は地域金融機関の融資に知的財産を活用することについてどのような期待を持っているか、統計的に処理を行い、その結果をまとめた。アンケートは北東北のものづくり製造業を中心に、J-Platpat上で過去1件以上の特許の出願人になっている614社の送付した。回答数は104社、回収率は17.0%だった。 特徴的な回答としては、現在地域金融機関は地域企業において比較的トランザクションに軸足を置いた融資判断を行うケースも多いが、自社を適切に判断しているかという項目については、現状でも適切に判断されているという回答がもっと多く、次に非財務情報をもっと評価して欲しいという回答が得られた。これは以前我々の研究で行った金融機関に向けたトランザクションな融資判断のありかた調査とは全く逆の性質を示し、金融機関は最も多い回答がもっと非財務情報を判断したいというものだった。これは金融機関と中小企業との融資判断の間に情報の非対称性が起きているからと考える事ができる。本アンケートにて中小企業が金融機関に融資判断時評価して欲しい45の項目を回答してもらっており、次年度はこの回答を統計的に処理し、中小企業と金融機関の情報の非対称性を解消する非財務情報と知的財産の価値評価スキームを報告する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度実施したアンケートを基に、計画に沿って614社のアンケート結果の処理とクロス集計を行い、中小企業と地域金融機関との融資判断実行性についての調査を終了した。この結果を持って本年度具体的なゲーミフィケーションの技法を用いた知財価値の評価スキームの構築を実行する
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今後の研究の推進方策 |
現在までの調査で地域金融機関と中小企業の情報の非対称性解消に向けたスキームの構築に向けた調査パートが完了した。本結果をもって今後具体的な情報の非対称性解消スキームを構築を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度調査のうち、データ解析の一部および専門家指導を外部に委託する予定だったが、分担研究者の解析で十分な調査解析が実行出来たために本年度は使用しなかった。次年度の本データを活用した金融機関との情報の非対称性を解消するための調査解析にて本予算を使用し円滑に解析結果を提案できるようにする予定である。
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