研究課題/領域番号 |
17K03922
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
宮崎 久美子 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (20281719)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 新興技術 / サービスイノベーション / AI / ビッグデータ / 次世代イノベーションシステム / スマートグリッド / 進化 / 組織能力 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は新興技術を活用して、ユーザーにとっての価値創造を目指す「次世代型イノベーションシステム構築のダイナミズム」に関する理論および方法論の探究を行うことである。 サービス分野で知識コンバージェンスが起きている放送業界において、価値創造が行われている過程について、論文データのキーワードを元に分析する手法を開発した。また特許データを使用し、米国の放送事業者Netflix における2000年以降の技術競争力蓄積過程とサービスイノベーションの関係について分析を行い、米国で開催された国際会議PICMETで発表した。 スマートグリッドの技術構造と進化過程を分析する上で1961~2014年のEPO(欧州特許)データをもとに、重要な技術進化と詳細な技術構造を分析する手法を開発した。同時に技術spaceとreadinessの概念を元に、進化過程の分析を深堀させ、各アクターの戦略を分析した上で、スマートグリッドのセクターの進化パターンを解明する手法を開発した。日独のスマートハウスに関する標準化戦略を比較した上でスマートハウスのキー部品であるHEMSとスマートハウスの共進化パターンについて実証分析を行い、国際会議で発表した。 AIに関する情報収集をした上で専門家にヒアリングをし、AIの技術基盤について理解を深めた上で基盤技術と応用技術関するキーワードの選定を行った。第2次と第3次ブームにおけるAI技術動向分析を行い、技術構造の点で違いを明らかにした。 建設会社におけるPPPを通じたオープン・サービスイノベーションに向けた組織能力の変革に関する研究を行うためにスコープを確定し、PPP事業に関したデータを収集し、自治体や建設会社へのヒアリングを行い、その結果は研究イノベーション学会年次大会で発表した。また、新興技術の事業開発の動的プロセスモデルについて提案を行い、同大会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画で記載した初年度のプランはほぼ達成した。また海外の格式高いジャーナルを含め、すでに1本が受理され、もう1本は査読者のコメントを元に修正中である。また技術経営分野の名高い国際会議PICMETで2回、研究イノベーション学会の年次大会で2回発表した。11月にはロンドン大学に招聘され、新興技術のイノベーションシステムに関する講演を行った。
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今後の研究の推進方策 |
技術経営、技術政策論、進化経済、コンピューターサイエンスに基づいた学際的、先進的分析手法を開発し、基本データを収集し、分析を実施する。発展改良を加え、さらに掘り下げた発展比較分析を行う。公的な放送業界におけるビッグデータ活用に焦点を当て、論文データ分析やネットワーク分析を元にビッグデータ軌跡と知識コンバージェンスの過程の可視化を図る手法を開発する。その手法を使い、NHKと英国BBCのビッグデータ技術軌跡の比較分析を行う。スマートグリッドには電力会社をはじめ、IT企業等異なるアクターが参入し、バリューチェーンの異なる部分で価値創造が起きている。その観点からスマートグリッドのセクターの進化についてさらに発展研究を行う。AIの第3次ブームに焦点を当て、AIの技術構造の発展、進化パターンについて深堀した研究を行い、普及して行く上で障害となっている点などを明らかにする。またAIとビッグデータなどの知識融合やコンバージェンスについて分析を行うための手法を開発する。土木建築分野でPPPの実績が多い企業とプラントエンジニアリングでPPPの実績が多い企業、数社を対象にヒアリングや特許データをもとに建設会社の組織能力の変革について実証研究を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017 年9月にイランで行われたアジアの技術経営と科学技術政策の国際会議ASIALICSに参加する予定であったが、学内の急な業務が出来、参加することが出来なかった。
2018 年の7月に韓国で行われる国際Schumpeter 学会に博士課程の学生が参加し、発表を行う。また申請人は韓国で6月に行われる別の情報通信系の国際会議に参加し、発表を行う。
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