研究課題/領域番号 |
17K03922
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
宮崎 久美子 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (20281719)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 新興技術 / 次世代イノベーションシステム / 進化 / 知識コンバージェンス / サービスイノベーション / AI / ビッグデータ / 価値創造 |
研究実績の概要 |
新興技術による技術コンバージェンスの進化過程を追跡するためのフレームワークを構築し、ビッグデータの実証研究を行った。コンバージェンスを測る指標として単語、キーワードを使い、特有の問題を解決するためにWikipidia を使う先端的な手法を開発し、どのような知識コンバージェンスが起きているのか解明した。その結果、AI、パターン認識、自然言語処理などを含む11の領域とビッグデータのコンバージェンスが起きていることが明らかになり、ジャーナル論文に掲載された。 新興技術の進化過程を分析するためには適切なサーチタームを選択する必要がある。自動化されたサーチタームを構築する先端的手法を開発し、その研究成果はScientometrics に掲載された。また公共放送におけるビッグデータの活用について、本研究により開発された手法を使って分析を行い、英国のBBCとNHKの比較を行い国際会議PICMETで発表した。NHKでは言語理解、AR、放送番組のアーカイブのためのメタデータ分析等にビッグデータが活用され、BBCでは画像認識や第3者に番組を推薦するレコメンダーシステムに活用されていることが明らかになった。 ICT技術およびオープンイノベーションを活用した建設会社のPPP(Public Private Partnership: 官民連携)の枠組みによる公共サービスの提供におけるサービスイノベーションに向けた組織能力の変革について、フレームワークを構築し、土木建設企業とプラントエンジニアリング企業を対象に調査を行い、Schumpeter 国際会議で発表した。 AIの進化について、構成される技術、アプリケーション、主要国の競争力の観点からこの30年間の論文データをもとに分析し、今後普及していく上での課題についてインタビューを行った結果について国際会議PICMETで発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画で記載した目的はほぼ達成したが、1本のジャーナル論文の査読プロセスが長引き、投稿してから受理されるまで7-8か月間もかかり、やや遅れが出始めた。その結果、当初の予定では2年目にイギリスに行き、調査を行う予定だったが実施することが出来なかった。訪問する予定であったBBCとのインタビューはSKYPEを通じて行うことが出来たが、自動運転についてヒアリングを行うGMを訪問することが出来なかった。またビッグデータなどの新興技術のコンバージェンスを分析するツールが必要となったが、そのようなツールが存在しなかったため、我々でソフトウェアを開発し、そのプロセスに時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
国内情報通信系エンジニアリング企業におけるオープンイノベーションの有効性の実証研究に関する研究を行う。 PPP/PFI(Public Private Partnership) を通じた政府の調達方針の観点から建設会社のオープンサービスイノベーションの影響について研究を行う。 ビッグデータに関連したITの軌跡を予測する手法に関する発展研究を行う。ビッグデータと公共放送のナレッジベースのコンバージェンスを下に開発することが可能となるアプリケーションやイノベーション及び価値創造について発展研究を行う。 自動運転に関する技術群、AIの応用等について技術と人、制度の関係について研究を行う。中国の企業における電気自動車分野のキャッチアッププロセスについて分析し、新な中国特有のイノベーションモデルを提案する。 1年度と2年度に行った研究成果と本年度の研究成果を統合する作業を行う。AIにおける国レベルの分析、ミクロレベルの分析およびAIの利活用に関するヒアリング結果、ビッグデータやその他の新興技術との相互関係に関する分析結果を総合し、次世代型イノベーションシステムを構築する上でのフレームワークを提言する。本研究成果である新興技術のイノベーションシステムについてSPRINGERより出版依頼が来ており、洋書を執筆する作業を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
論文の査読プロセスが長引き、当初予定していたイギリスで行う調査をキャンセルしたためその出張費を使うことが出来なかった。3年度には、研究成果をフランスで行われる国際会議で発表することになり、その出張費として使う。
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備考 |
中国の先端的電気自動車メーカにおけるキャッチアップ戦略について研究を進めており、共著で論文を執筆している。東京工業大学特別研究員であるDr Ruiz Navas とビッグデータによる価値創造について共同研究を行っている。
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