今年度の実績の概要は、次の二つである。 第一は、トヨタグループがグループ全体で、次世代の開発をはじめとした対応をすすめていることである。完成車メーカーでも提携などを進めつつあるが、グループ16社を核にした対応は、業界全体の今後の動向を考える上で、重要であると考える。もともと日本の自動車メーカーには、グループ企業が存在した。その大きな転機となったのが外資との提携である。マツダは、フォードとの提携でグループ数を激減させた。トヨタと数の上では、競っていた日産は、ルノーとの提携で激減させた。その結果、現在、日本においては、ホンダを除くと大きい規模の資本関係を持った企業グループは、トヨタだけになったのである。 第二は、世界最大の中国自動車市場に関することである。完成車メーカーの競争力が上昇してきたことは広く指摘されているとおりである。ただ部品メーカーについても、M&Dなどを通じてエアバッグや自動車ガラスの有力メーカーを傘下におさめて競争力を高めている。次世代の電池の本命は、日本が産官学で開発し、リードしている全固体電池である。しかし、中国では、色々な電池が開発されており、性能では、全固体に及ばないものの、コストを安くすることで戦おうとしている。また日常の改善活動でも地道な努力により成果をあげている。コスト・パフォーマンスの上昇により、ヒアリング調査でも完成車メーカーへの納入比率を10パーセント程度増加させている。欧米日の部品メーカーとの競争は、厳しくなることが予想される。
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