研究課題/領域番号 |
17K03936
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
櫻木 晃裕 宮城大学, 事業構想学群(部), 教授 (10331604)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | キャリア中期 / ストレス / コーピング / 社会的支持 / モティベーション / コミットメント / 自己効力 / モデリング |
研究実績の概要 |
本年度の研究実績については、次の通りである。 詳細については、(1)国際学会Proceedings2編:①韓国日本近代学会第35回国際学術大会「日本における成果主義の変遷と課題」(ハンバット大学校)、②韓国日本近代学会第36回国際学術大会「職務満足構造の再考」(愛媛大学)、(2)学会発表2編:③2017年度組織学会研究発表大会「モティベーション視点からのキャリア中期の危機-公立学校の組織成員に焦点をあてて-」(滋賀大学)、④人材育成学会第15回年次大会「キャリア後期の組織成員の心理的特性-50歳代のモティベーション・マネジメント-」(法政大学)、(3)報告書1編:⑤養護教諭地区研究会「養護教諭の仕事意識と仕事行動-属性比較からの考察-」(全50頁)、以上の5編である。 また、2017年7月に、北海道高等学校養護教諭研究会石狩地区において、ヒアリング調査と「臨界事象法(Critical Incident Method)」による分析を実施した。2017年10月に、浜松市教育委員会教員免許状更新講習において、これまでの調査結果、分析結果、考察にかかわるメタ分析を実施した。これらについては、本研究の研究仮説の設定と仮説モデル構築の重要な基盤である。さらに、個人(3名)を対象とするライフヒストリー分析を実施して、主要概念および関係概念の関係性抽出、研究全体の整合性と方向性について確認がなされた。 そして、2018年5月に開催予定の韓国日本近代学会第37回国際学術大会においても、「組織における有効なコーピング・マネジメントの構築-ケース・メソッドによる学習可能性-」の発表許可が得られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
29年度については、①キャリア理論の研究系譜再構築のための文献研究、②既に実施した調査対象者へのライフヒストリー分析を予定しており、概ね設定した予定通りの進捗状況である。また、次年度以降を予定していた、営利組織・非営利組織(社会福祉法人)を対象とする制度調査(評価制度・育成制度・ストレス対応・CDP)を前倒しで開始(現在50事業所)することができたため、「概念モデル(キャリア中期の危機)」の構築と「研究仮説(Copingの有効性)」の設定にかかわる有効な視座(想定外概念)を取り込むことが可能となり、より精緻な研究として推移している。そして、研究協力者および調査協力組織・団体との連携体制の確立に向けての取り組みも順調である。研究協力者2名とは、複数回ミーティングを実施し、韓国日本近代学会の学会事務局とは、2018年5月の国際学術大会開催時にミーティングが可能である。研究業績(5編)についても、予定していたもの(3編)よりも多く、順調であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
29年度の研究の進捗状況は、当初の予定よりもやや良いことから、30年度の研究進行については大きな修正はない。①ストレス理論におけるCopingの理論的枠組みの決定、②設定された初期仮説の第一次検証による「仮説モデル」の整合性の検討、この2つを中心として研究に取り組む予定である。特に、Copingを類型化した「問題中心Coping」「情緒中心Coping」「社会的支持」の3種の内容と機能について類型化すること、「社会的支持」を機能させるための4つの支持者(「情緒的支持者」「道具的支持者」「情報的支持者」「評価的支持者」)について体系化すること、これらに注力して調査、分析、考察を実施する予定である。いずれにしても、営利組織、非営利組織、公的組織の成員個人を対象とする「定性分析(ライフヒストリー分析)」に基づく分析が中心となり、可能な限り、補完的な「定量分析(アンケート調査結果の統計解析)」に取り組んでいく予定である。さらに、研究の連携体制の確立および実行に向けても、注力していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費として予算計上している統計解析ソフトの購入を次年度以降へ変更したため。
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