研究実績の概要 |
我が国産業の収益性は、1960年から40年以上に亘り一貫して低下してきたことが指摘されている。特に製造業の低下幅は大きく、1960年当時の製造業の売上高利益率は平均で10%を超えていたにも関わらず、2000年には4%を下回り、非製造業と同水準にまで下がった[Grochnik,2008]。一方、2000年以降、製造機能以外の「サービス化」で収益力を向上させる製造企業が出現するようになった。本研究は、我が国製造業のサービス化の実態を類型化した上で、サービス化に向けた我が国製造業の課題と戦略について電機・重電産業を中心に分析を行い、併せて我が国製造業の国際的競争力を高める上で「サービス化」がもたらす戦略上の課題と意義、とりわけ低収益性を脱却する収益化シナリオの分析考察を行うことを目的とする。 研究2年度目の平成30年度(2018年度)は、我が国製造業のなかの家電産業に注目し、そのサービス化の実態を類型化したうえで、サービス化に向けた我が国製造業の課題と戦略について分析を行った。具体的には、国内外の家電メーカー(パナソニック、日立製作所、三菱電機、愛知ドビー、シャープ、ダイソン、デロンギ、アイロボット)の製造販売する掃除機、扇風機、炊飯器における製品販売価格と営業利益率のデータを収集し、これらの関係性から見た製品付加価値化(サービス化)の実態について分析を行った。 その結果、①製品販売価格と②営業利益率との相関から、サービス事業度の測定を行った結果、①製品販売価格と②営業利益率との相関性を確認した。 研究3年度目の平成31年度(令和元年度)(2019年度)は、上記のデータを精査し、電機メーカーの収益化シナリオについて検討を進めた。
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