研究課題/領域番号 |
17K03939
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
河合 篤男 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 教授 (10275117)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 経営者 / ネットワーク / 育成経路 / 変革指向性 / マネジメント能力 |
研究実績の概要 |
2018年度の調査においては、経営者の意思決定に影響を及ぼすネットワークとその形成経路に係る仮説構築を目指した。そのための複数の定性的調査を実施した。たとえば、グローバル企業における経営者の育成経路と構築ネットワークの探求を目的として、ミネソタ大学図書館において3Mの(最近4代の)CEOのキャリア形成過程に係る資料収集も行った。常に変革を遂げて成長を持続する3M社の経営者の育成経路とネットワークは分析の好例といえる。2017年度の成果物である『100年成長企業のマネジメント』(日本経済新聞社)と脈絡を持つ3M本社を訪問して、ヒアリング調査も実施した。幼少期の原体験に始まり、大学学部・大学院時代の研究領域のコミュニティ、化学領域のコミュニティ、趣味の会といったネットワークを維持・重視し、アイデアを得ているという事例。大学院時代からの専門領域と3Mでのミッションに専念して高い成果を出すことで、事後的に広範なネットワークが形成されるという事例などを聞き取った。また、投資銀行部門(NY州)でキャリアを形成するバンカーとの対話からは、自身のキャリアの中で、対象顧客との相互作用・問題解決に関与する過程で、アイデアが広がり、自己も形成されてきたという話。思春期における母親からの影響が現在の発想の基盤を形成しているという事例。また、主として大学・MBA時代に形成された哲学(「正しいこと」の追求が信念)を基準として、徹底した情報収集と因果関係解明が意思決定に納得度を与えるという事例などを聞き取った。ここに例示した定性的調査を、国内外で蓄積し、仮説構築のデータベースとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2017年度の書籍(成果物)刊行に想定以上の時間を要した。その結果、本研究で予定している「経営者への定性的調査の実施(進捗)状況にやや遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画において設定した「経営者に対する定性的調査」を迅速に実施する(9月末までを目途)。並行して、仮説構築と概念の操作化(質問票開発)を試みる(10月末を目途)。本研究の定量的調査の対象とする、変革指向性の高いと想定される経営者へのアクセスを加速し、可能な限り早い時期に質問票調査実施に入る(12月末を目途)。
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次年度使用額が生じた理由 |
2017年度の書籍刊行により、当該年度に予定していた調査研究に送れが生じた。その影響が2018年度にも残り、予定している定性的調査が未達であることによる。定性的調査とそれに基づく質問票開発を加速し、2019年12月末にはデータの収集に入る予定である。
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