研究課題
本研究の目的は、日本の主要自動車メーカーの成長の基盤が国内から海外へ急速に移行する中で、従来国内市場を本拠としてきた主要独立系自動車部品メーカー視点の戦略行動の類型とその成果、および両者間の相関の導出することにあった。最終年度における主な研究実施計画として、国内外での学会発表、及び研究書としての出版を掲げている。李は国際ビジネス研究フォーラム編著(2020)で国際経営と企業成果との関係性を捉えた主要な研究を渉猟し、分析した結果、その関係性のパターンが、直線型からU字型及び逆U字型を経て、水平S字型へ精緻化してきたことを示し、その底流に規範的肯定論の前提があると指摘した。一方近年の研究では成果指標を投資収益率とする場合、企業の国際化には膨大な調整コストと特有の困難が伴うことから、企業の国際化がトータルで高収益性に繋がるとする肯定論は再検討されている。この研究の示唆点を踏まえ、李・平野(2019)は、自動車用プレス用金型を開発、製造する日系サプライヤーの韓国における国際合弁事業の事例研究を通じて、サプライヤーが国際合弁事業における構造的不安定性を克服する上で、パートナー間の相互補完的事業構造、製品の主要市場における暗黙的な棲み分け、さらなる海外での戦略的提携の拡張、緊密なコミュニケーションとアタッチメントが奏功していることを検証した。塩地は東アジア優位産業に国際分業の多元化が進んでいることを明らかにした(塩地・田中著(2020))。菊池(2019)は、中小企業経営における人材獲得戦略について論文を発表しており、富山(2019)はサプライヤーの新たな成長の領域として自動車リサイクル業の可能性を示唆した。学会発表に加え経済産業省自動車課・日本自動車販売協会連合会・乗用車市場成長戦略検討会議座長、日本自動車部品工業会特別会員を兼任する塩地はこれらの研究成果を踏まえ、政策提言を行った。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 3件) 図書 (4件)
經濟論叢
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