本研究の目的は、技術者の仕事経験の多様性が技術者の創造的成果を高めるかを明らかにすることにある。技術者へのWEBアンケート結果(400件)から分析した結果、(1)なんらかの多様な経験をもつ技術者は8割に及ぶこと、(2)多様な経験を持つ技術者の創造的成果は、多様な経験を持たない技術者よりも有意に高いこと、(3)9種類の多様な経験のなかで、技術者の創造的成果へ有意な影響を与える経験は、要素技術と全体設計とのジョブ・ローテーション経験であることがわかった。つまり、創造的に製品開発を行う技術者にとって、その製品を構成する要素技術開発と製品全体の構想・設計への従事の両面を経験する重要性が示された。
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