研究課題/領域番号 |
17K03947
|
研究機関 | 東洋学園大学 |
研究代表者 |
李 新建 東洋学園大学, 現代経営学部, 教授 (30433684)
|
研究分担者 |
申 美花 茨城キリスト教大学, 経営学部, 教授 (00543555)
今口 忠政 茨城キリスト教大学, 経営学部, 教授 (40102941)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 新興国市場戦略 / 中国市場開拓 / タイ国市場開拓 / 組織学習 |
研究実績の概要 |
2019年度は、これまでの文献サーベイ、理論研究及び中国とタイ国の現地調査により得られた情報を踏まえて、本研究のフレームワークを再検討した。その上で、日本企業の中国及びタイ国におけるハイエンド及び中間価格帯市場の開拓に関する質問票を作成し、日本国内及びタイ国においてアンケート調査を実施した。調査票は調査対象企業の属性項目を除いて、中国・タイ国事業の経営目的の達成状況、中国・タイ国市場開拓に向けての取り組み、既存の経営資源の活用、新しい知識・能力の習得を中心に、約90の質問項目により構成されている。中国ハイエンド及び中間価格帯市場の開拓に関するアンケート調査票は2019年11月上旬に日本国内本社の「中国現地法人を管轄する部門・事業部」宛に郵送し、60社から有効な回答が得られた。タイ国ハイエンド及び中間価格帯市場の開拓に関するアンケート調査票は2019年11月中旬に、「在タイ国日系企業経営管理者」宛に郵送し、56社から有効な回答が得られた。これらのアンケート調査の集計結果により、日本企業が中国・タイ国のハイエンド及び中間価格帯市場を如何に重視しているか、中国・タイ国事業の経営成果は米欧韓多国籍企業及び現地企業と比べて如何なる水準にあるか、中国・タイ国中間価格帯市場に向けた商品は如何なる特徴を有するか、中国・タイ国事業展開における組織学習の実行状況は如何なるものであるか等の側面において、新たな知見が得られた。アンケート調査の一次集計の結果は、2つの調査レポートとして、東洋学園大学『現代経営研究』第5巻第3号に掲載されている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は、予定通りに日本企業の中国とタイ国におけるハイエンド及び中間価格帯市場の開拓についてアンケート調査を実施したが、それを踏まえてさらに年度末に中国における日系企業を訪問し、補完的調査を行う計画もあった。しかし2020年1月から2月にかけて、中国では新型コロナウイルス感染症の感染拡大が深刻化し、各地域では交通規制が行われ人の移動は厳しく制限されるようになっていた。日本外務省も中国の感染症危険性をレベル3(一部地域)かレベル2に指定し、渡航中止勧告や警告を発した。其れ故、予定されていた中国現地調査は実施困難な状態になってしまい、2020年2月中旬に日本学術振興会に「科学研究費助成事業(学術研究助成基金助成金)補助事業期間延長承認申請書」を提出し、承認が得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
2020年度は、2019年度のアンケート調査に対する補完的調査を行い、得られた調査データに対して統計分析をし、研究仮説を検証する予定である。統計分析と仮説検証の結果は研究学会に発表し、学術ジャーナルに投稿することを目指す。補完的調査の目的は、昨年度に実施されたアンケート調査に回答していただいた会社への実地調査を行うとともに、さらに在中国日系企業からのアンケート回答を増やすことである。しかし、新型コロナウイルス感染症の混沌状況がいつ終息するかはなお不透明で、中国現地調査は2020年度中に実現できない可能性もある。それに備えて、メールで補完的アンケート調査を実施することを考えているが、その場合は、調査対象企業のメール・アドレスを集めることが課題として挙げられる。その対応策としては上海市に勤務している研究協力者や研究代表者と研究分担者が指導していたゼミ生で現在中国関係の仕事に携わっている方々の協力を得て解決するよう努める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額(注:約13万円が未使用)が生じた理由は、2019年度に予定されていた中国現地調査は新型コロナウイルス感染症の拡大により実施困難になってしまったからである。その金額は、基本的に2020年度の中国現地調査に使用される予定であるが、新型コロナウイルス感染症終息の見通しが立たない中、必要に応じて、オンライン・アンケート調査の実施に伴う費用や研究協力者・大学院生アルバイトへの報酬・謝金として使用する可能性もある。
|