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2017 年度 実施状況報告書

経営戦略策定支援のためのシステム・ダイナミックス応用に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K03955
研究機関専修大学

研究代表者

高橋 裕  専修大学, 商学部, 教授 (70317634)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードシステム・ダイナミックス / 経営戦略 / モデル / シミュレーション / ステークホルダー
研究実績の概要

1.欧米企業のシステム・ダイナミックスを企業の経営戦略に応用した例について調査した。
経営戦略策定において、システム・ダイナミックスを利用している研究者にヒアリングを行い、その導入と利用におけるポイントについての把握を行った。海外のヒアリングにおいては、定型化されたシステム・ダイナミックスの利用プロセスが成功事例につながっていることがわかった。
2.日本におけるシステム・ダイナミックス輸入の経緯と受容の過程を調査した。
日本におけるシステム・ダイナミックスは、いまだ利用プロセスを軽視する傾向があり、そのため導入を試行した段階で困難に直面する、あるいは導入後に臨まれる成果を得るまえに中止・中断をしている例が多いことが分かった。システム・ダイナミックスの手法の背景にある様々な理論的背景や考え方、問題意識の形成方法について注意が全く払われず、単にシミュレーション用ソフトウェアを導入することによって何らかのインサイトが得られることを期待している例や、いわゆるピンポイント予測を期待していることが多く、着地点の見えない導入をして効果的な利用に失敗している例が多くあった。これらの事実は、研究会のような小規模の会合での座談や、企業訪問時のヒアリングで明らかとなった。
3.システム・ダイナミックスの各種ツールについて調査した。
日本においてはかつてはSTELLAが多く使われていたが、現在ではVensim PLEが多く使われていることが分かった。ただし、Vensimの利用の理由はPLE版が無料で入手できることにあり、機能によって選択されているというわけではなかった。Vensim PLEは本来用途が限定されているものであり、この点に関する理解不足も散見され、これは今後のシステムダイナミックス利用・普及の問題点になりえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

もっとも作業の比重が高いと想定されていたヒアリングについて、特に訪問してのヒアリングは予定通りで、かつ想定された内容を得ることができたため、順調に進展していると考えている。これに加えて、個別の研究会合や企業訪問によって、形式にとらわれないフリーディスカッションが実施でき、その中で実社会でのシステム・ダイナミックスやシミュレーション利用に関する疑問点が一層明確になった。こうして得られた視点は、最終成果物の方向性やプレゼンテーションの仕方を決めるのに重要な情報になる。
日本と他のシステム・ダイナミックス先進国との違いについても仮説を裏付ける情報が得られたため、研究の方向性を大きく変更する必要はなく順調に進展している。
データベースは核となる部分について着手できたため、今後の進捗を妨げるものではなく順調といえる。

今後の研究の推進方策

1.システム・ダイナミックスで経営戦略の策定を行うための具体的な手法を構築する。
企業で特にシステム・ダイナミックスに関心がないという場合であっても利用できる手順・インタフェイスの開発を行い、実用的なサンドボックスを提示することを当初は計画していたが、サンドボックスという提示よりもテンプレートという形のほうが、実社会においてはイメージされやすいという意見が得られたので、この点について調整をしながら進める。
2.研究成果の利用しやすい形での公開を行う。
インターネットでの経営戦略のシステム・ダイナミックスによる表現方法の公開を行う。利用者からのフィードバックを得て、随時更新を行う。また、パンフレットなどの利用しやすい媒体で経営戦略の策定のためのシステム・ダイナミックス手法を説明する。勤務先のWWWサーバによる公開を行うにあたり、簡易的なCMSを利用する方法を検討している。ただし、必要な機能によっては、フリーで利用可能なクラウド・サービスも利用の視野に入れており、できるだけ早い時期にその選定は終わり実装に移る。当初、簡便な一覧できる情報での社会への還元を想定していたが、ヒアリングの間に得られた意見では必ずしも簡便さを要求していない情報ニーズが実業界側から多く得られた。簡便なものはあればあったほうが良いものの、日本においては整理された情報がそもそも不足しているので、それを補う網羅的資料やリファレンス・ブックを求める声も多くあった。本研究課題の範囲を超える部分はあるが、将来の研究や社会への還元につながるものであるので、そういった点も視野に入れながら資料を作成する。
3.初年度で完了しなかった調査については継続する。
データベースの作成が進んでいるものの、コンテンツと操作性の両面において更なる拡充が可能であると考えられる。今後も継続的にこの点を推進する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Searching leverage points to increase sales of a vertically integrated black tea company2017

    • 著者名/発表者名
      Takahashi Yutaka、Tanaka Nobuhide
    • 雑誌名

      Proceedings of the 2017 Winter Simulation Conference

      巻: 1 ページ: 4520-4521

    • DOI

      10.1109/WSC.2017.8248186

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 戦略立案のためのシステム・ダイナミックスモデルにおける能力資源の表現に関する一考察2018

    • 著者名/発表者名
      高橋 裕
    • 学会等名
      情報経営学会
  • [学会発表] システム・ダイナミックスのフロー変数におけるパルス入力の扱いに関する一考察2017

    • 著者名/発表者名
      高橋 裕, 田中伸英
    • 学会等名
      日本経営数学会
  • [図書] システム・ダイナミックス2017

    • 著者名/発表者名
      田中伸英・高橋 裕
    • 総ページ数
      164
    • 出版者
      サンウェイ出版
    • ISBN
      9784883890484

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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