研究課題/領域番号 |
17K03960
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
佐野 嘉秀 法政大学, 経営学部, 教授 (40345111)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 非典型雇用 / 人事管理 / 「柔軟な企業モデル」 / 日英比較 |
研究実績の概要 |
1.研究課題となる日英の人事管理に関する比較研究に向けて、日英の小売企業を事例とするインタビュー調査(日本企業事例)および資料収集(英国企業事例)を行った。インタビュー調査については、インタビュー記録を作成したものの、匿名性確保のためそれ自体の公表は控えている。日英の事例について調査で得た資料は、次年度以降の分析および研究取りまとめに活かす予定である。 2.初年度にあたる本年度は、分析枠組みの構築に向けて、先行研究の検討を行った。その成果の一部として、英国でのパート労働者等の非典型雇用の人事管理に関する先行研究について整理を行い、「英国の『柔軟な企業』モデルに関する実証研究の整理」『法政大学イノベーションマネジメント研究センターワーキングペーパー』としてまとめた。英国では、1980年代半ば以降、パートタイム雇用等の増加を背景に、非典型雇用の人事管理に関する理論的・実証的な研究の蓄積が進展した。研究成果では、そうした研究として、Atkinson(1985)により提示された「柔軟な企業(flexible firm)」モデルに関する実証的な研究を取り上げている。特に、英国企業の事例研究ないし英国企業を含む事例の国際比較研究により、同モデルの検証を行うものに限定して整理した。このような「柔軟な企業」モデルに関する一連の研究の整理を通じて、非典型雇用についても対象に含めた人事管理の分析視角を検討した。また、同モデルに即した英国企業の人事管理に関する事実発見の範囲と残された実証研究上の課題を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の初年度にあたる本年度は、先行研究の整理を中心に研究を進めた。先行研究の整理に基づく成果をとりまとめることができ、次年度以降の研究に向けた分析枠組みの検討を十分に進めることができたと考える。調査によるデータ収集も、比較対象とする英国と日本の企業事例について、資料収集やインタビュー調査を実施し、調査課題に即した資料を得ることができた。以上から、研究は「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
30年度は、1)29年度の研究成果および先行研究を踏まえた調査分析枠組みの検討を行うほか、2)小売企業の事例調査を実施する。このうち、1)に関しては、人事管理に関する国際比較の枠組みに関して、先行研究の整理をさらに進め、分析枠組みの構築につなげたい。また、2)に関しては、小売企業の事例について、追加的な調査を実施し、研究課題に即した資料収集を進めることとしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)平成29年度においては、事例調査先との調査実施スケジュールの調整の都合から、調査実施回数が当初予定より少ない2回となった。ただし、効率的な調査の実施により、予定していた資料は得られたと考えている。これに伴い、次年度使用額が生じている。 (使用計画)平成30年度については、調査等を通じた資料収集により、研究資料をさらに充実させるため、次年度使用額と30年度分を合わせて有効に使用する予定である。
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