研究課題/領域番号 |
17K03960
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
佐野 嘉秀 法政大学, 経営学部, 教授 (40345111)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 日英比較 / 小売 / 職務給 / 仕事配分 / 人材育成 |
研究実績の概要 |
2019年度の研究成果をもとに論文「英国小売企業における『職務給』の賃金制度と人材育成:日英比較の視点から」をまとめた。 同論文では、英国の小売企業で一般的なレンジレートの「職務給」の賃金制度の特徴を確認した。そのうえで日本との比較の視点から、英国の小売企業における「職務給」の賃金制度と仕事配分、人材育成との関係を明らかにした。その概要を示すと、「職務給」の賃金制度のもとでは、雇用者に対して「職務」に応じた仕事配分が行われる。これに対応して、売場での人材育成は、「職務」内の仕事遂行のための技能形成を基本とする。加えて、昇進意思のある雇用者に限定して、上位の「職務」への昇進に向けた人材育成上の支援を行う。このように「職務給」の賃金制度と人材育成の慣行のあいだには整合的な対応関係が見られる。 実践的な文脈として、現在、日本企業では、雇用形態間の賃金格差を是正する手段として「職務給」の賃金制度への関心が高まっている。本研究の事実発見を踏まえると、企業が「職務給」の賃金制度を導入する場合には、あわせて人材育成のあり方についても再検討することが必要と考えられる。英国の小売企業では、「職務」に関わる技能形成と昇進意思に応じた個別的な支援の組み合わせが見られた。論文では、このような慣行が、小売企業に限らず日本企業にとって「職務給」の賃金制度とあわせて取り入れるべき人材育成の具体的なイメージとなりうることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2019年度には、研究計画に従い、日英の小売企業を対象として人事管理の国際比較を行い、研究成果の一部として論文「英国小売企業における『職務給』の賃金制度と人材育成:日英比較の視点から」を公表した。 さらに、本研究課題の総合的な成果となる学術図書の原稿を執筆した。同成果の公表に向けて、2020年度の科学研究費助成事業(研究成果公開促進費)「学術図書」に応募した結果、助成の内定を得ることができた(課題番号20HP5152「英国の人事管理・日本の人事管理:日英百貨店の仕事と雇用システム」)。研究成果の学術図書としての公表のため1年間の研究期間の延長を行った。そのうえで最終年度となる2020年度には同成果を学術図書として公表できる見通しである。 以上より、現在までの進捗状況について「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度には、本研究課題の総合的な成果として、学術図書『英国の人事管理・日本の人事管理:日英百貨店の仕事と雇用システム』を刊行する。これは2020年度の科学研究費助成事業(研究成果公開促進費)「学術図書」に基づく(課題番号20HP5152)。刊行に向けて、原稿の推敲を進め完成度を高める。そのために追加的な文献調査およびインタビュー調査を行い情報の質を高めるほか、学会参加等を通じた研究者との意見交換により理論の精緻化をはかる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の成果としての学術書刊行に向けた調査・研究のために使用する目的から次年度使用額が生じている。2020年度には、追加的な文献調査およびインタビュー調査を行うことで情報の質を高めるほか、学会参加等を通じた研究者との意見交換により理論の精緻化をはかることで、研究成果の質を高める。これらの活動を行うため、翌年度分として請求した助成金は、文献調査のための文献購入費、オンラインでの調査や研究者との情報交換のための機材購入費、調査・情報交換のための国内旅費等として使用する予定である。
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