研究課題/領域番号 |
17K03964
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
西 剛広 明治大学, 商学部, 専任准教授 (10409427)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | コーポレート・ガバナンス / 取締役会 / R&D / イノベーション / 所有権構造 / 機関投資家 / 多様性 / 企業業績 |
研究実績の概要 |
2017年度は、コーポレート・ガバナンスとR&D、イノベーションの関係について次の2点から研究を行った。 第1に所有権構造とR&D投資の関係をリスクの観点から検討した。先行研究では所有権構造とR&D投資との関係に一貫した結果が示されておらず、本研究では企業の直面するリスクが両者の関係に影響を与えると仮定した。CAPM(資本資産評価モデル)から固有リスク(idiosyncratic risk)を抽出し、リスクの程度に応じて機関投資家がR&Dに与える影響が変化することを明らかにした。 第2に取締役会構成における多様性が所有権構造とR&D、イノベーションとの関係に与える影響を考察した。取締役会構成の多様性を両者の関係における調整変数として捉え、これを女性取締役比率を中心としたデモグラフィック多様性と、取締役の職務の観点からの職務多様性に分類し、実証分析を行った。職務多様性は取締役の出自を代替変数とし、ハーフィンダル・ハーシュマン指数により計測し、イノベーションの代替変数として特許出願件数を使用した。分析の結果、社外取締役比率と機関投資家比率は特許出願件数に負の効果がある一方、職務多様性を帯びた取締役会は機関投資家とイノベーションとの関係に正の影響を及ぼすことを把握することができた。 近年のコーポレート・ガバナンス改革において、ガバナンス政策がイノベーションに果たす役割が議論されているが、機関投資家の所有比率が高い企業では、職務を中心とした取締役構成がイノベーションに正の影響を果たすことになる。本研究では、所有構造と企業のおかれた状況、戦略を考慮しながら適切な取締役メンバーを構成することが実効性あるガバナンスを遂行する上で重要な課題となることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の計画における研究プロセスを順調に遂行している。所有権構造とR&Dとの関係を解明することが初年度の目的であったが、この課題に対してリスクの観点から検討するとともに、取締役会構成の多様性という視点を取り入れることで、一定の成果を得ることができた。研究成果については本研究期間に論文作成ならびに、研究報告を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
現在の研究内容の精緻化を図っていく。まず、企業の直面するリスク推定に関しては、今まではCAPM(資本資産価格モデル)を用いていたが、ファーマ=フレンチによるモデルのような説明力の高いモデルを使用していく。取締役会の多様性に関して、取締役の年齢や任期のような他の属性を考慮しならが検討していく。さらに、所有権構造ならびに、取締役会の多様性がイノベーションと企業価値に与える影響についても検討していくことも考えている。ここでは、現実によりフィットした形で、取締役会の多様性や企業価値を測定・推測するモデルを提案していきたい。 このような形で研究を進めることで、コーポレート・ガバナンスとイノベーションの関係性についてより大きな示唆を得ることが期待できる。すでに得た研究成果を含め、2018年度では新たな研究成果について学会やジャーナル投稿を積極的に行っていく予定である。
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