研究課題/領域番号 |
17K03966
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
品川 啓介 立命館大学, テクノロジー・マネジメント研究科, 教授 (70791549)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 経路依存性 / イノベーション / ポートフォリオ / 研究開発 |
研究実績の概要 |
自然科学の学術専門領域の研究者集団には、それまでに蓄積された知識に囚われ他領域の進歩や現況の認識を欠いたまま研究に邁進してしまう現象が散見される (以下、経路依存性と定義する)。これを自然科学の研究における大きな問題点と捉え、ISPIM Stockholm 2018(国際会議)で発表した内容を査読論文として仕上げることを念頭にインタビュー調査を行った。具体的には、青色発光ダイオードの開発で競合した二つの研究分野においてこれに参画した主要研究者8名にインタビューを行った。なお、この研究競争では当初有望と思われた研究がそうではなかった研究に追い越され、前者が窮地に陥ったことが知られている。インタビューの主な内容は、1.どのような理由から研究テーマを決定したか、2.競合をどのように認識していたのか、3.自領域の理論形成過程、4.(成功を逸した分野の研究者に対し)競合成功後なぜ自領域の研究から撤退できなかったのか、とした。これに両研究に関わる科学論文書誌情報の詳細な定量分析を加え、経路依存性は知識の累積によって形成されるものでありこれを取り除くことは容易ではないことを明らかにした。それゆ、自領域が不利になっても撤退することなく継続される傾向があることを見いだした。以上をもとに、国や企業は、研究開発においてもポートフォリオを考慮する必要があることを指摘する論文を投稿する予定である(2021年度)。また上記の理論フレームワークの他領域への応用を試み、下記国際会議での発表を行った。 Shinagawa, K. Creative thinking for deriving fruitful research themes of SDGs. ISPIM Connects Global 2020: Celebrating the World of Innovation; Virtual.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスの影響によりキャンセルされていたインタビューをオンラインの活用により実施することができた。これにより、本研究のリサーチクェスチョンに応える証言を得ることができた(仮説の妥当性も確認できた)。これをもって論文化を目指す予定である。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、競合する技術開発に関わる研究の経路依存性を分析してきた。これについて、昨年度の方針に沿って計画したインタビューが順調に進んだことから、これらの結果を基にした論文作成、投稿を行う。また、この研究から得た理論フレームワークが社会科学領域にも応用できる可能性を見いだした(SDGsに関わる社会科学領域)。これについても研究を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、インタビュー調査のための出張費のための使用を考えていたが、オンラインで済ませることができその費用は0となった。
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