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2018 年度 実施状況報告書

新規サービスが飽和市場のシェア変動に与える影響の分析

研究課題

研究課題/領域番号 17K03971
研究機関関東学院大学

研究代表者

石井 充  関東学院大学, 人間共生学部, 准教授 (10350753)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードネットワーク外部性 / 拡張型イジングモデル / シェア変動 / 携帯電話市場 / 飽和市場
研究実績の概要

本課題の2年目にあたる本年度においては、2000年度以降にはおおむね飽和状態にあると思われる携帯電話市場に対して、そのシェア変動を、拡張されたイジング型のエージェントモデルに基づいて詳細に分析し、その結果を論文にまとめた。
具体的には、イジング型のエージェントモデルを拡張し、サービス提供事業者が複数ある状況を適切に記述できるようにし、かつそれらの企業者が相互に競争関係にあることを記述できるようにした。
飽和状態にある市場内で、事業者ごとのシェアの差異をモデル内に取り込むため、個々のサービス提供事業者に対して、サービス開始時期を変動させた。こうして、市場内のシェアを2000年時点での携帯電話市場のシェアに一致させ、その後、新規サービスの導入による効果をモデルに取り入れるために、効用を表すパラメータを変化させた。
このようなモデルに基づき、主として2000年代における携帯電話市場におけるシェア変動を、新規サービス導入による効用変動という観点から定量的に説明可能であることを見出した。
同時に、モデル内の他のパラメータ、とりわけ、エージェント間の相互作用を表し、ネットワーク外部性を生み出す効果を持つパラメータを変動させた場合に、どのような現象が生じるかを定性的に考察した。その結果、パラメータセットによっては、ネットワーク外部性の効果のうちで、サービス開始当初の停滞期間を有することなくかつ、飽和状態に達した後にはシェアが固定されるという、資金的な制約が大きいベンチャー企業にとって有利な状況が存在する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

詳細なモデルを用いて、携帯電話市場という、ネットワーク外部性の効果が大きくかつ飽和状態が長く継続している市場において、新規サービス導入によって生じるシェア変動を、既存のエージェントモデルを拡張することにより、定量的に説明できることを見出した。これにより、本研究課題における、最も重要な部分を達成した。

今後の研究の推進方策

携帯電話市場以外の飽和状態にある市場に対して、そのシェア変動を調査する。また、その要因がどのようなものであるのか、それが本研究で用いたモデルで説明可能であるのかを調べる。同時に、ネットワーク外部性の強さを表すパラメータの変動がもたらす効果が、ネットワークの特徴、具体的には、スケールフリーネット性などの特徴にどのように依存するかを調べる。その結果を国際学会や学術雑誌における論文として公表する予定である。

次年度使用額が生じた理由

昨年度は国際学会のうちの一つが国内で開催されたため、経費支出が抑制された。
今年度は、2件以上の学会参加・発表を予定しており、いずれも海外で行われる予定であり、予算を全て使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] イジング型エージェントモデルによる飽和IT市場における新規サービスのもたらすシェア変動効果分析2018

    • 著者名/発表者名
      石井充
    • 雑誌名

      経営情報学会論文誌

      巻: 27 ページ: 121,133

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] イジング型モデルにおける相転移とサービス開始時における成長曲線の関連性分析2018

    • 著者名/発表者名
      石井充
    • 学会等名
      経営情報学会 2018年 秋季全国研究発表大会

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公開日: 2019-12-27  

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