研究実績の概要 |
本研究では、経営理念を共有するために組織が実施する様々な施策に対して、従業員がどのように知覚し、その知覚が従業員自身の理念共有にどのように影響を与えるかを研究した。特に企業のグローバル展開において、本国本社発の理念共有施策の意図が、海外現地では異なるものに知覚される可能性も大きくなることを踏まえ、従業員の知覚に焦点を当てた。国内グローバル企業に対するインタビュー調査により仮説構築を行い、その仮説を検証するため、国内のビジネスパーソン2,906名に定量調査を行った。その結果、従業員は、理念共有施策への組織の取り組みが熱心であることを知覚するほど、自身の理念共有を進める傾向が発見された。また、その組織の施策が、自分たちの日常業務を邪魔しないような細やかな配慮・工夫がなされていることを知覚するほど、自身の理念共有を進める傾向があることも発見された。但し,その組織の熱心さが転じて理念実践目標を過度に重視する等施策への押付感を知覚されると、従業員は、理念を理解しようとはするものの、共感や行動への反映を起こそうとはしないことが判明した。その他、理念共有施策への活動参加において、実際に従業員自身や職場・組織に何かしら良い改善や成果がもたらされたことがきっかけで、理念への理解・共感・行動反映がもたらされるという理念共有の機能的側面も発見された。これらの調査結果を2018年度に学会報告し、以降、各種論文原稿に集約している。
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