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2018 年度 実施状況報告書

産学官連携の成果の普及プロセス:技術と社会システムの相互作用

研究課題

研究課題/領域番号 17K03984
研究機関甲南大学

研究代表者

高 永才  甲南大学, マネジメント創造学部, 准教授 (40508561)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード産学官連携 / 産学官の役割 / インターフェースの標準化
研究実績の概要

平成30年度においては、産学連携の成果普及に影響するインターフェースの標準化と標準化に基づいたシステムの具現化における各プレーヤーの役割について研究を進めた。事例としては、次世代エネルギー社会システム実証事業を用いた。これまで市場に存在しなかったシステムを産学官がどのように分担して実証実験を行い、その中でどのように技術開発が進んだのかをインターフェースの標準化という内容をキーワードに分析を行っている。
事例分析の結果、行政機関(経済産業省)は、システムのインターフェースの標準化に対し、事前に有識者と議論を交わし、その妥当性や方向性を示す役割を果たしていた。こうした情報は企業や大学に対し、今後の国内における技術投資の方向性を示す結果となった。企業はこうした情報を元に、社内で実証事業への参加、その後の技術開発、システム開発における正当性を確保させる場合もあることが明らかになった。
さらに、大学は学内の施設で実験を行い、産学官連携の成果の実用化可能性と生じうる課題を示す役割を果たしていた。さらに、こうした成果を海外の学会や行政に伝え、日本の技術に関する広報活動も担っていた。
目的が異なるプレーヤが共に産学官連携を実証実験を行い、その成果を事業化・実用化するプロセスにおいて、システムのインターフェース標準化のみならず、各プレーヤーの役割を事前に明確にしたことで、成果の普及がスムーズに進むと推測される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成30年度は、産学官連携の成果普及に影響する社会システムの特性と技術との相互作用を明らかにすることを目的としていた。具体的には、産学官連携の成果普及プロセスにおいて、社会的要因に加え、社内のマネジメントがどのように進むのかを理解することが重要であるとした。研究の結果、行政機関の技術の方向性(インターフェースの標準化)の提示とそれに対する社内における技術イノベーションに対する正当性の確保が、社内におけるスムーズな技術開発を可能性にしたことが明らかとなった。
また、社内だけではなく、有識者や行政機関、さらには、大学等の社外のプレーヤーが技術開発を後押しする状況も、産学官連携を通した技術開発を推進、普及させる一つの要因になっていた可能性が高い。
技術の開発とそれらを後押しする社会システム(この場合は、行政機関、大学、企業の社内)が存在することが、次なる技術開発の原動力となることが明らかとなった。
しかし、産学官連携の成果普及のスピードは遅く、且つ、関連技術の産業が幅広いために、どの程度の普及を『成果普及』と定義すべきか、その規定が難しい側面がある。
こうした課題は今後より調査を進める必要がある。

今後の研究の推進方策

次世代エネルギー社会システム実証事業に参画した各プレーヤーが、実証事業の成果をどこから普及として捉えており、さらに、それらをさらに普及させるためにどのような努力を進めているのかを明らかにする。さらに、次世代エネルギー社会システム実証事業は、ネットワークシステムであるがゆえに、技術進歩に不均衡が生じている可能性が高い。そのため、このような課題をどのように解決しつつ、実証事業の成果の普及に努めているのかも明らかにする。
こうした内容が重要となるのは、(実証事業の成果としてのシステム間の)技術進化の不均衡という課題は国内だけでなく海外での技術普及過程においても、課題となる可能性があるためである。
どのようなタイミングで、どのようなマネジメントを行い、国内だけでなく、海外でも実証事業の成果を普及させるのか。また、それぞれにおいて、普及と関連し重要な役割を果たすファクターは何になるのかも示す。
こうした内容を通して産学官連携という形態を用いた技術イノベーションの在り方を示し、その課題克服と普及プロセスを示すことを目的とする。

次年度使用額が生じた理由

次世代エネルギー社会システム実証事業の成果普及に関して、国内のみならず、海外における普及や海外の社会システムが技術開発、普及に与える影響を調査する予定であったが、実際に、海外における次世代エネルギー社会システム実証事業の成果を普及させている企業へのコンタクト、インタビューが実現しなかったためである。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 営業担当者の志向と個人成果:部門間タスク・コンフリクトの媒介効果 営業担当者の志向と個人成果:部門間タスク・コンフリクトの媒介効果2018

    • 著者名/発表者名
      徐恩之・高永才
    • 雑誌名

      組織科学

      巻: 51巻3号 ページ: 87-97

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 産学官連携による技術イノベーションの推進・事業化に影響した要因 産学官連携による技術イノベーションの推進・事業化に影響した要因2018

    • 著者名/発表者名
      高 永才
    • 雑誌名

      商学研究

      巻: 12 ページ: 19-34

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Managing Ambiguity in Industry-University-Government Alliances for Innovation Managing Ambiguity in Industry-University-Government Alliances for Innovation: A Case Study of the Next Generation Energy and Social System Demonstration in Japan2018

    • 著者名/発表者名
      Youngjae Koh
    • 学会等名
      AC-EMM2018(AC Conference)
    • 国際学会
  • [学会発表] 産学官連携を通した技術イノベーションの推進・事業化を可能にした要因2018

    • 著者名/発表者名
      高永才
    • 学会等名
      第14回 日本商学研究学会

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公開日: 2019-12-27  

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