本研究の主な目的は、1)日本人グローバルリーダーの特徴を明らかにし、2)その成長プロセスに関するモデルを構築、3) グローバルリーダーのコンピテンスを測定する質問紙を作成、4)グローバルリーダー育成のための教育プログラムを開発し、5)そのプログラムの効果を質問紙で測定し検証する、という5点である。 これらの主目的に従って、まず、日本人グローバルリーダー(以下、GLとする)をnomination methodで抽出し、15名程度の日本人GLへの深層面接を実施した。それらの面接内容をもとにグラウンデッドセオリーに基づいて質的分析を行い、日本人GLの様々なコンピテンシー(能力や態度、価値観、スキルなど)を整理した。さらに、これらの情報を時系列で再整理を行い、日本人GLの発達モデルを創出した。次に、日本人GLのコンピテンシーモデルをベースにして、グローバルリーダーシップ尺度を開発した。この尺度を使うことで、量的にグローバルリーダーシップを測定することが可能となった。一方、日本人GLの発達モデルを参考に、どのような経験がコンピテンシーの発達に関連するのかを抽出し、グローバルリーダーとしてのコンピテンシーを身につけるための研修・ワークショップのプロトタイプを開発し、それを授業や研修で実施する準備を行った。研究最終年度では、研究者2名がそれぞれ担当しているリーダーシップ関連の科目において、本研究のノウハウを生かして授業内容を工夫し、その前後にグローバルリーダーシップ尺度での効果測定を行なった。また、社会人向けのグローバルリーダープログラムにおいても本研究の内容に基づいて研修コンテンツを開発し、Intercultural Effectiveness Scaleを使って研修効果を測定した。加えて、日本人GLの特徴および発達プロセスについて学会発表および論文執筆を行なった。
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