研究課題/領域番号 |
17K03989
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
近藤 文代 筑波大学, システム情報系, 講師 (40322010)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 畳み込みニューラルネットワーク / 時系列 / ウエーブレット変換 / ハール基底 / スマートフォンアプリの起動回数 / チャネル選択行動 / オンライン購買 |
研究実績の概要 |
本年度は下記のことを行った。 1.階層ベイズによる集計データを用いたランダム係数選択モデルに関する推定結果を学会にて口頭発表した。 2.マルチデバイスに関連したマルチチャネル市場が拡大する状況を捉えるために混合隠れマルコフモデルおよび潜在成長曲線モデルをベースにモデル構築を行い、実際のデータ分析を行った。それらの結果を国内学会にて口頭発表を行い、査読付き論文として公刊した。 3.オムニチャネルでは情報閲覧と購買というプロセスをモデル化が必要である。しかし、Webサイト情報の閲覧履歴は膨大なため、特徴抽出を自動化するプロセスが必要であり、そのためにモバイル経由のWebサイト情報の閲覧履歴データを畳み込みニューラルネットワーク(CNN)によりその特徴量抽出を試みた。 画像処理で用いられているCNNにより、複数カテゴリのWebサイト情報の閲覧履歴の時系列特徴量を抽出し、カテゴリの予測分析を行った。使用頻度の上位3カテゴリ(ツール・SNS・ゲーム)に関して毎時起動回数データを生成し、データの学習及びカテゴリの起動回数の予測を最終的にカテゴリ分類の形で行った。また、2種類のHaar基底ウェーブレット変換、未変換データとのモデル比較により変換・未変換データの精度の比較も行った。その結果、3カテゴリの分類では全体の分類精度はそれ程高くならず、未変換データでの精度が一番高くなった。そこで、補助分析として3カテゴリを2カテゴリずつに分けて分析を行った結果、ツールとSNS、ツールとゲーム間では70%を超える高い精度で2カテゴリ分類がされた。2カテゴリ分類では変換データでの精度が一番高くなる結果を得た。一方、SNS、ゲーム間では低い精度となり、本データ対象の消費者においては、SNSとゲームのアプリを同じ様な時間での使用により、起動予測データの傾向が類似してしたことが分類精度に影響を与えたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
階層ベイズによるマルチデバイス状況を考慮したオムニチャネルモデルの構築のテーマでは、マルチデバイス状況を考慮したマルチチャネルモデルの研究はかなり進展があった。しかし、マルチチャネルからオムニチャネルへいかにと統合させるかという問題が残されている。これはマルチチャネル統合に関する研究領域として認識されている。この領域ではレベル1が独立したマルチチャネルであり、レベル4が統合したマルチチャネル、つまりオムニチャネルであるとの理論的提案がある。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題ではいかにWebサイト情報の閲覧行動と商品の購買行動を結びつけるかという点をPCインターネットやモバイルWebサイト情報の閲覧データを、実店舗における顧客購買データと結びつけ、オムニチャネル購買の実態をモデル化することを課題としている。今後は、情報の利用に関して購買心理を測定するアンケートデータ、Webサイト情報の閲覧データ、実際の購買データの3者を結びつける階層ベイズによるモデル化を行う予定である。
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