研究課題/領域番号 |
17K03995
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
兼子 良久 山形大学, 人文社会科学部, 准教授 (00645062)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 課金方式 / マーケティング / 消費者行動 |
研究実績の概要 |
平成30年度は、課金方式が価格イメージ及びサービスに態度に与える影響を検討した。検討にあたっては、主に課金方式の複雑性(価格複雑性)が消費者反応に与える影響に焦点を当てた。価格複雑性とは、例えば、価格を複数の構成要素に分割して示すなど、最終的な支出額を算出するのに負荷が課される程度を指す。消費者の積極的な価格比較は価格競争に巻き込まれる原因ともなる。そのため、企業視点で考えれば、価格複雑性を高めることは、利益最大化の観点から合理的戦略であるとされる。一方、消費者視点においては、価格複雑性に対して消費者反応がどのような反応をするのかについて検討される機会は少ない。本年度は、2種類の調査から定量的検証を行った。結果、(1)価格複雑性は、知覚価格にネガティブな影響を与え、結果としてサービスに対する態度にもネガティブな影響を与える可能性が高いこと、(2)価格複雑性は総支出額の過大評価に導くとともに、仮に総支出額が高くなっても、消費者は複雑な料金体系よりもシンプルな料金体系を好む傾向があること、(3)企業が価格複雑性を高める場合には、企業の利益も高まる可能性が先行研究では指摘されているが、消費者反応の視点を踏まえれば、企業の利益にネガティブな影響を与える可能性が高いこと、したがって、価格設定に際しては、消費者が知覚する価格複雑性を考慮する必要があり、企業は複雑な課金方式よりも,消費者が理解しやすいシンプルな課金方式にすべきこと等を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度は、課金方式の複雑性と課金プラン数の視点から、(1)課金方式の価格イメージへの影響、(2)サービスに対する態度、に与える影響を検討する予定であった。課金プラン数の影響については、実証分析ができておらず、次年度において分析を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に基づき、課金プラン数が価格イメージと消費者態度に与える影響、契約型課金を前提として消費者が課金方式を評価する際に影響する要素に関わる定量的調査を行う予定である。また、平成30年度の成果については学会(国内については日本商業学会、国外については台湾日本語言文藝研究学会などを予定)での報告、学会誌への投稿を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
実査費用が当初よりも若干安くなったため。次年度使用額については、実査費用として使用する予定である。
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