研究課題/領域番号 |
17K03996
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研究機関 | 千葉商科大学 |
研究代表者 |
安藤 和代 千葉商科大学, サービス創造学部, 教授 (60409620)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ネガティブなクチコミ / 認知的評価理論 / サービスの失敗 / SERVQUAL |
研究実績の概要 |
本研究ではネガティブなクチコミに焦点をあて2つの方向で研究を進めている。1つ目はネガティブなクチコミの分類、クチコミ発信者の感情の分類、そして両者の関係や一対一対応を模索する先行研究を概観し、知見の把握ならびに今後の研究課題の抽出に取り組んだ。また認知的評価理論を基盤として考察を進めている。 また消費者調査の実施と得られたデータの分析、消費者窓口を担う企業担当者のヒアリングを行い、特定の商品やサービスに対する消費者の不満表現の実態についての理解を深めてきた。 2つ目は、ネガティブなクチコミの発生場面に注目した研究に取り組んでいる。具体的にはネガティブなクチコミ発信を調整する要因について調べている。例えば、個人の特性(例えば、パーソナリティや関与、情報処理能力、購買予定の有無など)、受け手と送り手との関係性(例えば、絆、好意度など)、対象サービスの特性(例えば、快楽的か功利的かなど)、そして状況要因(例えば、時間圧力など)等が調整要因として想定される。2021年度は、状況要因としてサービスエンカウンターの状況特性とクチコミ発生の関係や、送り手と受け手の関係性として両者の相互作用とクチコミ発生の関係について、考察した。前者については、SERVQUAL指標を用いて消費者の知覚品質とクチコミ発信の関係について考察した。サービス利用中の多様な接点において、消費者が知覚する品質レベルがクチコミ発信に与える影響を調べている。共同研究者とともに2件の調査を実施し、データ分析、考察を進めている。後者については、クチコミ発信意向に与える受け手の影響あるいは両者の関係性について、実証的な研究を進めている。今年度は2件の調査を実施し、受け手の影響について設定した仮説を支持する結果が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
予定外の案件として、COVID-19の影響で授業方法が変更となり、それに伴う授業コンテンツの修正・補充を行う必要があったこと、延期していた在外研究の2022年度実施が決定したため、関連する手続きや準備を行ったこと、新たな研究プロジェクトがスタートしたことなどがあげられる。本研究に予定していた時間の一部をこれらに充てる必要があったため、進捗に影響した。しかしそうした中で、2021年度には調査を4件実施し、得られたデータの分析や考察を行った。2022年度の研究に活かせるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、2020年までの研究を踏まえ2021年に取り組んだネガティブなクチコミの発生場面に注目した研究に注力する予定である。具体的にはクチコミ発生を調整する状況要因や受発信者の相互作用について実証的に分析を行う。サービスエンカウンターの知覚品質とクチコミ発生、受信者の態度や両者の関係性とクチコミ発生について、すでに調査を実施しているので、その結果を踏まえ、仮説の追加、調査の実施、分析、考察を行い、成果としてまとめたいと考えている。 加えて、冒頭に報告したクチコミ発信者の感情とクチコミタイプの関連性について、先行研究を概観するレビュー論文をすでに発表しているが、その後に進めた調査およびデータ分析の結果について、考察を深め、成果としてまとめたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大により行動規制が敷かれていたため、出張を伴うヒアリングや、協力者を会場に集めて実施るう実験室実験を控えたことで旅費と人件費・謝金が発生しなかった。 統計ソフト(SPSS-StatisticsとAmos)のバージョンアップの期限が迫っていたため、計画していなかったが今年度、更新を行った。物品費増加の主たる要因である。
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