本研究の目的は、エビデンス・ベースト・アプローチと機械学習アプローチにより、営業スキルと個人業績の関係を科学的に解明することである。営業員の個人業績の積み重ねが企業全体の業績であることから、営業スキルと個人業績の関係を科学的な手法で解明することは重要である。また、機械学習の一種であるベイジアンネットワークを用いて、多岐にわたる営業スキルの全体像をネットワーク構造で体系化することが可能となる。本研究の意義は、アカデミズムによる研究があまり進んでいなかった営業分野について科学的な解明が進め、営業活動に対する知見と理解が深まることである。その結果、労働環境の改善、労働生産性の向上、人的資源の有効活用につながることが期待できる。 研究最終年度の2019年度の研究実績は、下記の通りである。まぜ、2017年度に実施した因子分析の結果をもとに、クラスター分析により、営業員のタイプを5グループに分類した。それぞれのグループ毎に、因子分析の質問項目(個別営業スキル)を数値化し、ベイジアンネットワークによるネットワーク構造を分析した。グループ別に個別営業スキルのネットワーク構造を解釈することにより、それぞれのグループにおける個別営業スキルの相互関係や因果関係を明らかにした。また、一定以上の子ノードを持つ影響力の高いハブに注目した結果、営業員タイプごとに、ハブとなる個別営業スキルが異なっていることが判明した。 今後の研究の展開としては、2018年度に実施した個人資質に関して対象範囲を拡げ、ビッグファイブ以外の非認知能力(例えば、GRITやレジリエンス)等を追加したうえで、個人的資質と営業業績との関係を分析していくことが重要であろう。
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