2017-2018年度にはネット小売普及以降の小売国際化現地化戦略モデルを構築するために不可欠な以下の2つの追加的視点を明確にした。第1の視点は新興市場におけるネット小売普及に関する国家の役割の重要性である。第2の視点は都市部での普及と全国普及では国家の役割の重要性が異なることである。国家は第1~3フェーズの都市部での普及、第4フェーズでの地方を含む全国普及の双方に強い役割を担う。 2019年度には国家の関与の在り方についてより明確にするために、2017年度に現地調査した外資規制緩和を通じてネット小売普及を進める国家の関与が中程度の国メキシコ、2018年度に現地調査した労働組合など既存のプレイヤーの普及反対を重視し国家が消極的関与しか行っていない国アルゼンチンに続いて、上記2つの諸国とは異なるネット小売普及に関する政府の関与の特徴を有する東アフリカ主要国ケニアと西アフリカ主要国ガーナの2か国において現地調査を行った。 2020年度は2019年度に行ったアジア市場経済学会東部部会で行った学会報告や執筆した研究論文に対して頂いたコメントも踏まえて、2021年7月に行う研究報告に向けて、西アフリカ主要国のガーナ現地調査の成果のブラシュアップ作業を行いながら、本研究を踏まえた更なる研究の進展に向けた計画を作成中である。新型コロナウィルスの世界的蔓延の影響があり、海外調査ができないため厳しい部分もあるが、2017-2019年度の現地調査で獲得したネットワークを活用しながら研究を進めている。
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