研究課題/領域番号 |
17K04012
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
原 頼利 明治大学, 商学部, 専任教授 (30366900)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 企業間関係 / 企業間適応 / コーディネーション / 流通チャネル |
研究実績の概要 |
本研究テーマに沿って、当該年度は、昨年に引き続き、企業間統合 (inter-firm integration) の問題に焦点を当てて理論研究及び実証研究を行なった。まず、広範な文献レビューを行ない、既存研究が企業間統合の2つの異なる次元に焦点を当てていることがわかった。一つは企業間における活動調整を意味するコーディネーション統合、もう一つは企業間における権限・パワー関係またはコントールを意味するオーソリティ統合である。前者は特にサプライチェーン・マネジメントの研究者が関心を持っている統合の次元で、後者に対しては取引費用アプローチの研究者が焦点を当ててきた 本研究では、この両方の次元を同時に扱うリサーチ・モデルを構築した。両方の統合次元を扱う研究はこれまでにはない新しい試みである。それぞれの統合と2種類の不確実性、つまり環境の不確実性と行動の不確実性のパフォーマンスに対する交互効果を検証している。また、製品ポジショニングに関わる変数、具体的には製品のユニークさという変数とそれぞれの統合との交互効果を検証している。分析の結果によると、コーディネーション統合によって、環境の不確実性のパフォーマンスに対する負の効果は緩和されること、オーソリティ統合によって、行動の不確実性の負のパフォーマンス効果は緩和されることが確認された。また、製品のユニークさが高い場合、製品にカスタマイズされた流通業者の流通活動が必要となり、コーディネーション統合が必要なことも確認された。 当該研究成果をまとめた論文は、B2Bマーケティングの主要学術雑誌の一つであるJournal of Business and Industrial Marketingに本年度、採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度中に実証研究を行ない投稿した論文であるが、本年度中はレビュアーから大幅修正を求められたために、モデルの修正や分析の追加、論文の修正に専念した。その甲斐あってJournal of Business and Industrial Marketing採択された。また、今後のジャーナル投稿に向けて、国際学会で別の研究成果3本の報告を行うことができ、当初の計画通りの研究成果を順調に産出している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度、本年度の研究の推進方策として述べたことであるが、今後は信頼やケイパビリティなどの変数を用いた分析モデルの構築と実証研究を考えている。既にジャーナルに投稿した論文の修正や分析の追加が必要になったために、本年度は実行できなかった。ただ、研究計画の大きな変更はなく、研究計画に沿った研究を遂行する上で大きな問題はない。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属大学の英文校正助成金を予定していた一部の英文校正費に充てたので、本年度の未使用額が生じた。次年度分の助成金と合わせて、買い替えが必要なノートパソコンの購入に充てる。
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