研究課題/領域番号 |
17K04013
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
福田 康典 明治大学, 商学部, 専任教授 (90386417)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | マーケティング・リサーチ / 個人情報 / プライバシー / 情報センシティビティ / 価値共創 |
研究実績の概要 |
令和元年度は主としてこれまでの研究成果を学会等で積極的に報告しつつ、研究の成果をまとめていった。前半は、マーケティングリサーチにおける倫理問題を、同意の不本意さという観点から整理し、リサーチに関する同意の付随性が不本意さを付与している点、その付随性における同意形式上の付随性の比率が高いほどその不本意さが高まる点を学術論文において論じた(日本経営診断学会論集2019年11月20日採録)。また、マーケティングリサーチの自動化や機械化に関する内容について日本情報経営学会・全国大会にて報告を行った。こうした研究成果の発表作業に加え、昨年度末に実施した調査のデータ分析作業も同時に行い、個人データに関するリスク知覚とそうしたデータに対する保護要求についてその関係の分析を行なった。 令和元年度後半は、こうしたデータ解析の結果をまとめ、その内容を2つの学会において報告するための作業を行った。1つは、2019年11月に開催された日本情報経営学会全国大会での報告である。ここでは、主として知覚リスクの分布の偏りとその原因について報告を行った。もう1つは、2020年6月にスペインで開催される予定であったETHICOMP2020での報告作業に向けた準備である。本助成事業の終了後の開催であったが、情報倫理やヒューマン-マシーンインタラクションにおける倫理的問題を議論する世界的な場であるため、助成期間を延長してこの報告に挑戦しようと予定していた。このプロシーディングス用論文の投稿を行い投稿を完了させた(2020年3月16日)が、残念ながら新型コロナウィルス感染拡大の影響により当学会の開催は延期された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、2つの点で研究計画の進行に遅れが出た。1つは、2月に予定していたインタビュー調査が調査対象機関からの要請を受けて中止になった点である。これについては、その後日本でも緊急事態宣言が出るなどして状況が好転しなかったため、このまま中止にするのかあるいは状況が落ち着き次第、調査を再開するのかまだ調査対象機関との調整すら行えていない状況にある。 もう1つは、こちらも新型コロナウィルス感染拡大の影響によるものであるが、2020年6月にスペインで開催されるETHICOMP2020での学会報告を追加し、さらにその学会の開催が延期された点である。ウィルス感染とは関係なく、ETHICOMPの論文募集があった段階で、研究成果の海外での報告や海外研究者との意見交換といった点で、本助成事業の成果のさらなる向上のために助成期間の延長を予定していた。すでに論文はアクセプトされている。しかし、開催国であるスペインの状況は非常に悪く、すでに開催を1年間延期する旨の連絡を主催者から受け取っている。
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今後の研究の推進方策 |
先の進捗状況に示した通り、インタビュー調査と国際学会(ETHICOMP)での報告が残されている状況にある。前者については、日本国内の感染状況の終息に依存しているため、現時点ではその状況を勘案しながら対応を決めていく予定である。 一方、ETHICOMPについては開催は1年間延期されているものの、本年6月にビデオカンファレンスが開催される予定があり、これに参加する予定である。そのため、現在、このビデオカンファレンスでの報告に向けた準備を行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況において記載した通り、新型コロナウィルス感染拡大の影響によりインタビュー調査が中止になってしまったこと、また、研究成果の報告においてより高い成果が見込める国際学会(2020年6月にスペインで開催予定であったETHICOMP2020)での報告を予定したことにより、次年度使用額が生じた。 繰り越された研究資金の使用計画としては、インタビュー調査については感染状況の好転を待って実施する予定であり、それに充てる計画である。ETHICOMPについてはすでに1年間の開催延期が決定されているが、その代わりにビデオカンファレンスが実施される。そのため、研究資金の一部はこのカンファレンス資料作りに必要な経費として使用する予定である。また、令和2年度内に開催される他の国際学会での報告も視野に現在報告先を探している。ただし、現時点ではまだ世界的に状況が不安定であるため、今後の事態の終息を待って使用先を確定する予定である。
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