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2020 年度 実績報告書

老齢保障システムにおける公的年金と保険事業の連携のあり方に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17K04018
研究機関京都産業大学

研究代表者

諏澤 吉彦  京都産業大学, 経営学部, 教授 (50460663)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード老齢保障システム / 医療保険システム / 健康増進型医療保険 / 医療費削減 / シミュレーション分析 / 健康診断計測項目 / 支払能力
研究実績の概要

老齢保障システムの持続性向上のためには、その構成要素である医療保険システムが有効に機能しなければならない。2020年度は、医療保険システムにおいて保険事業が担うべき役割を、近年登場した健康増進型医療保険に注目して分析した。同保険は、健康関連指標が改善した被保険者に保険料割引などの経済的インセンティブを付与することにより、その健康維持・増進を促し、保険収支を改善すると同時に、医療費削減にも貢献すると期待されている。同保険が、このような期待に応え得るのかどうかを検証するため、(株)JMDCの協力を得て健康保険組合データを用い、モンテカルロ法によるシミュレーション分析を行った。保険会社が確認容易で客観的なリスク指標として、健康診断計測項目のBMI、血圧、HbA1cおよびALTの計測値が正常範囲となった場合に、期待保険金と医療費がどのように変化するのかを、被保険者の年齢・性別に推計した。その結果、BMIおよびHbA1cについては男性の期待保険金と医療費の削減幅が大きく、ALTおよび血圧については女性のほうが大きかった。とくに効果が高かったBMIとALTについては、前者は男女とも年齢層が高いほど期待保険金と医療費の低下幅が大きいのに対して、後者ではこの傾向は男性のみに見られた。さらに、期待保険金の低下は、保険会社にとっては、生命保険引受リスクを縮小させ、その結果、経済的インセンティブの費用を負担してもなお、その支払能力が強化されることが示された。以上の分析結果は、保険会社に対して財務状況改善に向けた健康増進型医療保険の商品設計のために有用な示唆を提供したのみならず、適切に設計された同保険の普及が公的医療保険を含む医療保険システムひいては老齢保障システムの持続性向上にもつながることを示した。なお、COVID-19による参加予定学会の開催中止等のため、補助事業期間を延長した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Risk Evaluation Accuracy using Telematics and Policyholders’ Coverage Selection: An Analysis Based on an Equilibrium Model2020

    • 著者名/発表者名
      諏澤吉彦
    • 雑誌名

      京都マネジメント・レビュー

      巻: 36 ページ: 5-17

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Risk Evaluation Factor of Health Promotion Medical Insurance: An Analysis Focusing on Cost of Telematics and Policyholders’ Coverage Selection2020

    • 著者名/発表者名
      Suzawa, Yoshihiko
    • 学会等名
      World Risk and Insurance Economic Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] 健康増進型医療保険の効果と費用―健康保険組合データからの分析―2020

    • 著者名/発表者名
      諏澤吉彦・田中貴・永井克彦
    • 学会等名
      日本保険学会全国大会

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公開日: 2021-12-27  

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