研究課題/領域番号 |
17K04019
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
岸谷 和広 関西大学, 商学部, 教授 (40330170)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | カスタマージャーニー / 広告効果 |
研究実績の概要 |
本年度は、研究対象なっている消費者行動モデルcustomer Journeyを、再度従来の消費者行動論や広告論で展開されているモデル(購買段階モデル、知覚や態度変容などの情報処理モデル、コミュケーション効果モデル)との比較やそこでの位置づけの検討を通じて、新たな論点を抽出した。具体的に言えば、Customer Journeyを特徴づける複数の情報源から発信される複数メッセージに対する情報処理に関する点である。この点を理解するために、Griceに提起されたコミュニケーションにおける協調性の原理(4つの公理)を適用可能性を次の二つの点から検討した。第一に、多様な情報の交換を規定するソーシャルメディアのプラットフォームの特性それ自体を理解する点である。協調性の原理を導入することで、それぞれのプラットフォームのコミュニケーション特性を明らかにすることが可能である。先行研究では、フラットフォームの特性をソーシャルメディア上の社会関係(Bonding, Bridiging social capital)、社会技術的なコミュニケーション特性(双方向性、同期性、能動性)などから理解されていたが、協調性の原理を導入することで、プラットフォームがもたらすコミュニケーション特性を加えることができ、プラットフォームの特性を理解が深まることになる。第二は、マルチチャネルでの情報処理を理解する点である。ソーシャルメディア、企業サイト、ショッピングサイト、比較サイト、もしくはそれぞれのアプリなどから情報を処理する方法を理解するために、協調性の原理の応用可能性を検討した。また、マルチチャネルの情報検索を容易にするハッシュタグ検索も考慮しながら分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
補助事業期間を一年延長しているため、遅れているという評価になっている。それは、研究代表者が前年度秋学期より米国コロンビア大学で訪問研究者として滞在していることが当初の想定とは異なり、進捗状況の遅れをもたらした大きな原因である。しかし、それにより、研究をより実りあるものにすることができる。広告コミュニケーションに関する研究が最も発達している米国で新たな知見を得ることで、前年度まで積み上げてきた仮説や実証結果にさらなる磨きをかけることができる。それゆえ、補助事業期間の一年の延長を申請した。
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今後の研究の推進方策 |
研究実績で触れたように、訪問研究者として米国での滞在から得られた新たな論点に基づき、追加的な仮説を立案する。また、コロンビア大学の教授から、消費者実験や調査方法などの知見を得ることで新たな調査を今年度9月の帰国後に実施する予定にしている。また、すでに取得したデータをもとに論文作成を行うと同時に、同大学の教授からの助言を得ることで、適宜修正し、国際コンファレンスや国外雑誌への投稿を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
米国で訪問研究員として滞在しているため、想定していた海外渡航に関する費用を支出する必要がなくなったことがその理由である。だだし、今年度の9月に帰国予定となっているが、それ以降も海外渡航を予定していることから同程度の支出を予定している。また、今年度実施を予定していた実験(実験に使う予定のマテリアル(ウェブサイトなど)の制作費、被験者に対する謝金、調査会社への外部委託など)も一年先延ばしにしたことで、支出が予定通り行われなかった。だだし、帰国後の同様の実験を行う予定である。
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