今年度は、前年度で収集した消費者データを引き続き分析し検討した。Liberman et al. (2001)らの代替仮説の帰属理論と焦点化理論、regulatory foucus(促進的焦点、回避的焦点)、との関係に関する仮説をSNSプラットフォームごとに分析を行った。前年の消費者アンケートの自由回答項目で投稿者の投稿理由を記載してもらうthought listingという技法を使い、それらを広告と考えられる経済的な理由、製品を推奨したいなどの個人的な理由などの推測をそれぞれコーディングして、その理由の多様性を変数化し、従属変数とした。Facebookの投稿に関しては、促進的焦点の主効果、広告懐疑と促進的焦点、広告懐疑と回避的焦点の二つの交互効果が確認できた。Twitterの投稿に関しては、回避的な焦点の主効果、広告懐疑と回避的焦点の交互効果が確認できた。先行研究では、促進焦点は、仮説同士の競合を意識せず、多様な仮説を生みだす傾向があるのに対して、回避的な焦点は、競合を意識することで単一の仮説に収斂する傾向があるという知見を鑑みると、Faceboookは、促進焦点の主効果が有意であったため、それを確認することができたが、Twitterは、逆に、回避的な焦点の主効果が有意であった。そのことから、焦点化理論と代替仮説の生成の関係に関しては、プラットフォームによって相違することが考えられる。TwitterとFacebookの違いは、アカウント登録の実名の程度であることから、 Facebookの場合はそのまま先行研究の知見が当てはまるが、Twitterに関しては、不確実性が高く、仮説自体の競合が考えられないと推測でき、不確実性を回避する傾向のある回避的焦点は、競合はせずも複数の仮説を検討したと考えることができる。
|