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2017 年度 実施状況報告書

共創活動が創出する社会的価値-消費者参加型プラットフォームの新たな側面-

研究課題

研究課題/領域番号 17K04023
研究機関大阪女学院大学

研究代表者

青木 慶  大阪女学院大学, 国際・英語学部, 准教授 (50761045)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード共創コミュニティ / リードユーザー / ユーザーイノベーション / 教育
研究実績の概要

本研究の目的は、消費者参加型の共創活動から派生する、社会的価値の可能性について明らかにすることである。平成29年度は、Appleの顧客参加型コミュニティを調査対象として選定し、参加者の得ているベネフィットについての情報収集及び類型化を行った。
当該コミュニティは、Appleの審査によって選ばれた革新的な教育者が集う、グローバルなコミュニティである。教育の変革を目的とし、参加者が教育におけるイノベーションをシェアし、教育の質を向上させようとする場である。メンバーの所属する教育機関は、初等教育から高等教育まで多岐にわたり、特別支援教育に携わる者も少なくはない。教育の問題は「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」にも挙げられる世界共通の社会的課題であり、当コミュニティは、本研究の目的に照らして、適切な調査対象であると判断された。
当年度は、当コミュニティへの参加者17名を対象にインタビューを実施し、参加者のモチベーションやベネフィットについて聞き取りを行った。その結果、コミュニティへの参加の動機付けは、当人の自発的なものと、Appleからの勧めに二分された。前者には、ブランドの長期的な愛好家である傾向が見られた。また、インタビュイーらはユーザーイノベーションの研究領域で定義される、リードユーザーの特徴に合致することが明らかになった。そして、全てのインタビュイーがコミュニティから得られる最大のベネフィットとして、他のメンバーとのつながりを挙げた。
以上を総括すると、Appleではリードユーザーを選択的に集結させ、相互の交流を活性化することで、イノベーションのシェア・普及を図り、教育の質の向上という社会的価値を創出している構図が浮かび上がる。当年度の研究活動を通して、消費者参加型の共創活動から社会的価値を創出するために有用な示唆が得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年度は、調査対象とする共創プラットフォームを選定するための情報収集を行うことを、主な活動として位置付けていた。様々な共創プラットフォームを検討した結果(例えば、Instagramや雑誌社の主催する読者参加型コミュニティなどについても検討した)、上述のAppleの運営する教育者のコミュニティの存在が浮上した。他のプラットフォームと比較検討した結果、社会的価値を創出していることが明確であり、本調査目的との整合性が高いと判断されたため、調査を進めることにした。
具体的には、17名のコミュニティ参加者にインタビューを実施し、データ収集を行った。また、当該コミュニティの活動はクローズドであるが、メンバー同士が自発的に集う、非公式なオフラインの集まりに参加し、フィールド調査を実施した。
また、American Marketing Associationのカンファレンスにて、ポスターセッションで過去の共創コミュニティに関連する研究発表を行い、本研究に有用な示唆を得た。
以上のことから、当初予定していた研究活動は概ね達成できたものと考えている。ただし、研究開始当初からの変更点がある。当初は、趣味的・実利的という切り口で、異なる分野の共創プラットフォームについて比較検討する予定にしていた。だが、調査を進めるに従い、両者が異質であり、並行して調査することのシナジーや、比較することの意義が小さいという問題が浮上してきた。このため、Appleのコミュニティに関連する調査を先行させ、その他の事例について、選択基軸を再考することにした。

今後の研究の推進方策

上述のAppleのコミュニティへの調査を通じて、共創参加者にとってメンバー間のつながりが、コミュニティに参加してイノベーションを共有する重要な動機付けになっていることが明らかになった。これは、以下の2つの観点から、有用な発見である。
(1)ユーザーイノベーションの分野では、イノベーションの普及が課題であるとされてきた。
(2)マーケティング分野では、他者との関係性が、ブランド体験価値の向上に寄与するものであることが示唆されてきた。
他者とのつながりが、社会的な価値を創出し、さらにそれがブランド体験価値を向上させることを示すことができれば、企業が共創活動に取り組む意義を明確に提示することができる。本研究では、平成30年度以降、定量的にこれを検証する。
平成30年度は、Appleのコミュニティ内と、コミュニティに属さないAppleユーザーにおいて定量的調査を実施し、この関連性について確認する。途中経過を対外発表することで、理論を精緻化する。平成31年度にはブランドを他に拡張し、一般化について検討する。

次年度使用額が生じた理由

一部の謝金の支払いが、30年度になったため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Can Brand Experience Increase Customers’ Contribution? : Brand advocates derived from co-creation platform2018

    • 著者名/発表者名
      Kei Aoki
    • 学会等名
      American Marketing Association
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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