研究課題/領域番号 |
17K04026
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研究機関 | 流通科学大学 |
研究代表者 |
森藤 ちひろ 流通科学大学, 人間社会学部, 教授 (10529580)
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研究分担者 |
山本 昭二 関西学院大学, 経営戦略研究科, 教授 (80220466)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 家族の意思決定 / 家族アイデンティティ / 家族の価値観 / 購買意思決定プロセス |
研究実績の概要 |
本研究では,同居・別居を問わず日常的に繋がりを持つ家族が共同で行う購買意思決定プロセスを明らかにすることを目的としている。本年度は,コロナウイルス感染症拡大防止のために,予定していた調査を実施することができなかった。そのため,緊急事態宣言下の消費者の生活実態を把握する調査を用いて,在宅で過ごす時間が増えた消費者の家族間の関係性の変化,各構成員の役割の変化について考察した。 全家族構成員の在宅比率が増え,各構成員の役割や構成員間の影響関係がコロナ前後で変化した家庭とそうでない家庭があった。オンライン授業や在宅ワークなどの浸透により,自宅で過ごす時間が増え,かつ過ごし方が変わったことで,それに合わせて家事の分担や家族の役割認識も変化してきたと推測される。自然発生的ではなく,この機会に意図的に見直すという家族も存在した。しかし,その変化の程度や方向性は,家族の価値観によって違いが見られた。また,インターネットでの購買比率が高まったため,ICTリテラシーが各構成員の役割を決める要素としてより影響力を増した。対面を回避する購買パターンが増えることにより,意思決定者の変更や影響関係の構造変化も見られ,購買意思決定プロセスが変更されるケースも見られた。 別居だが日常的につながりを持つ家族では,高年齢の消費者も含め,オンラインのコミュニケーションがより一層活用されるようになった。長期化する新たな生活様式に適応する上で,ICTリテラシーの重要性を明確にしたと言える。これらの考察から,コロナウイルス感染症のような外的要因も家族の意思決定に影響を及ぼす重要な要因であり,その影響の程度と内容は家族アイデンティティや家族の価値観を反映していると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度までの研究結果の考察から,再考した調査を実施し精緻化する予定であったが,コロナウイルス感染症の影響により,購買行動が通常とは異なることと,調査協力者との対面が難しいことから,予定していた調査を実施することができなかった。そのため,調査は,消費者の移動制限が緩和されてから実施することとし,研究計画を1年延長した。しかし,通常の生活が可能になった場合においても,以前の行動に戻るとは限らないため,コロナ禍における消費者の行動や認識を調査し,分析を行った。全体としては,当初の全体計画からやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,1世帯で完結される家族の意思決定と複数世帯で行われる家族の意思決定のプロセスの違い,構成員の役割を明らかにする。また,近年は家族構成員の多様化が見られるため,家族構成員の違いがもたらす意思決定プロセスの差異についても分析する。また,コロナウイルスの影響による消費者の購買行動や家族の役割変化が見られるため,コロナウイルスによる家族の意思決定の変化についても考察する。本研究の成果は,消費者行動研究に関連した学会で発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス感染拡大のため,予定していた調査が実施できなかったため,使用額が減額になった。翌年度は,予定していた調査に加え,コロナウィルスの影響により変化した家族の意思決定に関する調査を実施するため,その調査費用に使用する予定である。
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