研究課題/領域番号 |
17K04034
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
櫻田 譲 北海道大学, 経済学研究院, 准教授 (10335763)
|
研究分担者 |
大沼 宏 中央大学, 商学部, 教授 (00292079)
大澤 弘幸 新潟経営大学, 経営情報学部, 教授 (30468962)
加藤 惠吉 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (70353240)
柳田 具孝 東京理科大学, 経営学部経営学科, 講師 (40876249)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 女性役員 / 2段階最小二乗法 / 銀行業の租税負担 / 繰越欠損金 / コーポレート・ガバナンス |
研究実績の概要 |
令和3年度の研究代表者による成果は申請課題に直接的に関係する成果と間接的に関係する成果のそれぞれ2点(合計4点)に分類される。 直接的な成果として①「小売業の有給取得率と女性役員の企業業績への貢献」と②「わが国銀行業の租税負担率に及ぼす財務的要因とコーポレート・ガバナンスの影響」を執筆している。①の前半における分析の結果、小売業における有給取得率の低下がROAを上昇させるとの結果を5%水準有意で示すことに成功した。さらにROAを最大にする女性管理職比率が存在することを確認している。そして女性の活用と企業業績の関係について同時性バイアスを疑った2段階最小二乗法(2SLS)による検証を試みた結果、見せかけの相関であることが明らかとなった。そこで後半では分析対象を全上場企業に拡げ、再度のOLSによる分析を試みた結果、女性役員比率の上昇によってROAを向上させる実績は認められなかった。しかし女性役員比率の上昇に対する投資家の評価は好意的であり、同比率が上昇するとQが向上する結果を導出した。②では、わが国銀行業の租税負担率がいかなる要因によって決定されるのかを明らかにする。本研究では分析対象を敢えて銀行業に絞ることで複雑な租税負担率の上昇・下降要因を整理し、租税負担が減少する基本的な要因を見極めた。そこで租税回避と指摘される企業行動実態の解明について本研究では財務数値とコーポレート・ガバナンス(CG:Corporate Governance)状態のそれぞれを観察することで知見を導出している。分析結果から、各行の租税負担率は税法規定を遵守した行動に依るか、業種特性が表出する部分が大きく、租税回避が散見されるような状況にないと判断するに至った。 間接的な成果として③「わが国IFRS適用企業の利益に関する研究」と④「大型小売店の立地と自治体財政の関係」を執筆している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 新型コロナウィルスの感染拡大により研究の進捗が一部で遅れた部分は認められるが、リモートによる打ち合わせや研究会、学会への参加によって十分ではないものの大幅な進捗の遅延は回避されたと考えている。 また令和4年度前半において日本会計研究学会第101階北海道部会における報告を準備しており、完成稿の出来上がりが間近に迫っているほか、別件で『会計プログレス』への投稿を予定している原稿も存在する。同様に研究分担者である柳田氏も2件の査読論文の結果を待つ状態にあり、来年度中には新たな成果が追加されると思われる。加えて「移転価格税制適用企業の財務的要因とコーポレート・ガバナンス」を北海道大学経済学会学会誌『経済学研究』へ脱稿済みであり、初校を終えている状況にあることも付言しておく。
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度中に研究成果を単著として上梓する計画がある。
|
次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染拡大による研究進捗の一部遅れが理由である。
|