研究課題/領域番号 |
17K04038
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
柊 紫乃 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (10609952)
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研究分担者 |
上總 康行 立命館アジア太平洋大学, 国際経営学部, 教授 (20121494)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 改善効果の見える化 / 現場改善会計論 / Gemba Kaizen Costing / 機会損失 / 未利用生産能力 / 休眠生産能力 / 割増生産能力 / 生産能力展開図 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は「現場改善会計論」の体系的完成である。グローバル競争に対応して日本企業の競争力の源泉である「生産現場の組織能力」,中でも「擦り合わせて作り込む現場の競争力」(藤本2003, p.109)を進化させる必要がある。そのような組織能力が具現化するのが生産現場での絶ゆまぬ改善である。 現場改善会計はこれらの改善効果を金額的に測定可能にし,理論的に体系化することを目指している。初年度である平成29年度においては,ほぼ当初計画通りに研究が進捗した。具体的には以下3点を挙げられる。 ①理論研究として,製造間接費に関わる検討を意図しつつ,そのための概念整理として生産能力に焦点をあてて詳細に検討した。その成果は,日本原価計算研究学会第43回全国大会での発表において複数の研究者からのコメントを得た上で論文としてまとめられ,愛知工業大学『経営情報科学』に掲載された。 ②海外研究者との知見交換として,ハーバード大学他を訪問し,同大学のDr. Willy C. Shihおよび,欧米の現場改善(CI)の先端機関であるLean Enterprise InsutituteのDr. James P. Womack,Mr. John Shookと学術・実務の両面での観点で知見を交換した。その成果は,メルコ学術財団英文ディスカッション・ペーパーとして公表された。 ③理論の実践的検証として,外資系製造企業との共同研究を開始した。同社日本国内工場を計6回訪問し継続的に議論を続けてきた。その成果は次年度以降に発展的に継続される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画による理論的研究の学会発表および論文公表,海外研究者との研究交流,共同研究先企業との実務実践検証を推進できた。具体的には,研究実績に記載した通りである。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画にある通り,従来の会計理論・会計技法との比較検討を進めていく。なお,それと並行して,他分野理論や企業実践との応用・連携を深める。具体的には,生産管理論をふまえた現場改善会計論という学際的研究を行い,学会報告を予定している。また,初年度から継続している企業実践における検証をさらに推進していく。 研究成果の公表については,学会だけでなく,先端研究者のコメントを得るべく,積極的に研究会等でも報告する予定である。
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