本研究の研究目的は,複数の業績指標を用いた管理会計システムにおいて,マネジャーがどのようなバイアス(自身の判断で特定の指標に重みをおくこと)をもって指標を利用しているのかを明らかにすることである。研究目的に変更はない。 本研究では、シナリオ実験や、実験参加者の眼球の動きを測定するeye tracking deviceを使った実験を複数回実施してきた。それらの実験の結果、次の諸点が明らかとなった。1つは、実験参加者は業績指標ごとに焦点を合わせる時間が異なっていたこと、1つは、実験参加者は業績指標の特徴に応じて指標の重みづけが異なること、最後に、こうした焦点を合わせる時間の異なりや重みづけの異なりを生む要因の1つとして、実験参加者の認知特性がありうることであった。 最終年度である2022年度には、これまでの研究から今後の研究課題として、個人の認知特性の違いに注目した管理会計研究が必要であることを『社会科学論集』で指摘した。
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