令和3年度は、令和2年度まで行ってきた、水循環マネジメントに資する会計モデルを国立公園などの自然公園に適用した場合の具体的なモデルの検討を引き続き行った。コロナ禍という事情から、現地での調査を行うことができなかったため、最終的なモデルの具体化は、今後も継続して実施することになるが、多様な経済主体が自然公園や水系などの空間という共通の場において財務面と環境面をマネジメントする上での物量情報と貨幣情報が必要であることは、明らかにできた。 また、平成29年~今日に至る研究期間において、水循環のマネジメントにおいて会計学の観点からの研究を通じて、水文学や環境科学など、他の学問領域との連携の必要性を感じた。今後、会計モデルの精緻化・具体化の研究を進めていく中で、他分野からの知見をどのように水会計情報システムに組み入れていくかということを検討する必要がある。そこで、令和3年度は、水に関わる学際的な学会である水資源・環境学会の機関誌において、会計学分野からの水マネジメントへの貢献について、主として文献に基づいて整理した研究を発表した。そこでは、会計学を含むさまざまな学問領域において水会計の研究が行われているけれども、会計の観点からは、①水情報の測定尺度としての物量情報と貨幣情報の連携、②複数の水会計イニシアティブの選択問題、③水会計の対象(バウンダリー)の問題および④学際性に伴う学問横断的研究の必要性を主張した。 なお上記の件を明らかにした論文は、令和3年度中に提出をしたものの発行は令和4年度中の見込みである。
|