本研究の成果は、2つある。1つは、原価企画において、設計段階で見積もられた原価と実際に発生した原価の間に違いが生じる2つの原因を明らかにしたことである。過去の経験から蓄積されたデータの外挿によって将来の原価を予測する時に生じる「外挿による錯誤」と、限定的な条件の下でしか要求された品質が確保されない部品を使う場合に、環境のばらつきによって、製品が品質を満たせなくなる「品質設計の脆弱さ」である。もう1つは、多目標を与えられた状況で、エンジニアが設計解を導出するときの思考方法を示したことである。多次元の目標に、新しい変数を加えることによって、関数を変化させ、設計解の存在確率を高めることができる。
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